小児科

小児のITPにステロイドはどのくらい有効なのか?[アメリカ編]

今回は、小児ITP患者において、ステロイドの有効性を検討した研究となります。

ポイント

  •  新規の小児ITPにステロイドまたはプラセボを投与
  •  ステロイドを投与した方が、治療開始後1週間の血小板数は増加
  •  治療2〜4週間度の血小板数は、治療をしてもしなくても、それほど変わらない
マミー
マミー
小児のITPの治療って何がありますか?

Dr.KID
Dr.KID
過去のエビデンスをみてみましょう。

   ITPはかつて特発性血小板減少性紫斑病 or 免疫性血小板減少性紫斑病、その後、免疫性血小板減少症と呼び名が変わっています。

 研究の概要

背景・目的

小児の急性特発性血小板減少性紫斑病 (ITP) におけるステロイドの有効性は議論の余地があり、ランダム化比較試験で評価されることはまれである。

方法

新しくITPと診断された10歳以下の27人の子供に、

  • プレドニゾン(2 mg/kg/日を14日間投与後、21日目までに漸減および中止)
  • プラセボ

のいずれかをランダムに投与した。

アウトカムは、

  • 血小板数
  • 出血時間
  • 臨床的出血スコアー(0~4の尺度に基づく)

を、薬剤治療開始前(0日目)および開始後6回(1-2日、3-5日、7、14、21および28日目)に測定した。

Dr.KID
Dr.KID
出血時間も計測されていたのですね。

結果

プラセボを投与された小児と比較して、プレドニゾンを投与された小児は、治療7日目においては、高い血小板数、低い出血スコアおよび出血時間を示した。

しかし、それ以外の日は、3つのアウトカムのいずれにおいても2つの治療群間に統計的有意差は認められなかった。

出血時間は両治療群で血小板数と逆相関していた。

プレドニゾンは血小板数に対する効果とは無関係に出血時間に影響しないようであった。

結論

プレドニゾンを使用した小児ITPの治療レジメンは、治療開始後の1週間に一過性に改善させることを除いて、新規の小児ITPのアウトカムを明確に改善させなかった。

考察と感想

一般に、小児ITPに対してIVIGを開始すると治療数日後くらいに、ステロイドは数日〜1週間くらいに血小板数が上昇すると考えられていますが、その根拠となる論文でもありますね。

血小板数や出血時間の推移がFigureで示されており、貴重な論文と思います。

Dr.KID
Dr.KID
ご興味のある方は、原著を読んでみても良いでしょう。

まとめ

今回は、小規模ではありますが、小児のITPにおいて、ステロイドの有効性を検討した研究になります。

ステロイドを投与すると、血小板数は治療後7日目に大きく上昇しますが、治療14〜21日以降は、プラセボとそれほど変わらないという結果でした。

 

 

created by Rinker
¥4,950
(2024/11/05 01:15:14時点 Amazon調べ-詳細)

Dr. KIDの執筆した書籍・Note

医学書:小児のかぜ薬のエビデンス

小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:

小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。

医学書:小児の抗菌薬のエビデンス

こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。

日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。

created by Rinker
¥3,850
(2024/11/05 00:21:45時点 Amazon調べ-詳細)

Noteもやっています

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

 

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

保護者からのよくある質問に科学的根拠で答える

 

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。