現時点ではアトピー性皮膚炎など多くの皮膚疾患での治療の基本は保湿とステロイド外用薬です。
NSAIDsの外用薬が使用されることがあるようですが、きちんとしたエビデンスがあるかを調べてみました。
- 欧州デンマークから発表された研究
- NSAIDsに、ステロイドまたはプラセボを追加して比較した研究
- ステロイドを追加した外用薬がもっと有効であった
1977年に欧州で発表されたようです。
NSAIDsはアトピー性皮膚炎などに有効?[デンマーク編]
研究の背景/目的
新しい非ステロイド性抗炎症物質(bufexamac)の効果を、0.1%のトリアムシノロンアセトニド、1%のヒドロコルチゾンクリーム、およびプラセボと二重盲検多施設試験で比較した。
研究の方法
アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、非アレルギー性接触皮膚炎、脂漏性皮膚炎の治療を受けた193名の患者を対象に、これら4種類のクリームの臨床効果を検討しました。
研究の結果
2週間後に193名、4週間後に157名を再診したところ、トリアムシノロンアセトニド及びヒドロコルチゾンクリームの効果は、NSAIDs外用薬の効果よりも有意に良好であった。
一方,NSAIDs外用薬+プラセボクリームとの間には統計学的に有意な効果の差は認められなかった。
結論
対象となった皮膚疾患においてステロイド+NSAIDs外用薬はNSAIDs外用薬より治療効果が優れている。
考察と感想
1~86歳までの方が対象だったようですね。
Abstractの記載があたかも4種類の比較のように感じられて非常にややこしいですが、実際のところは3種類の薬の比較のようです:
- NSAIDs + プラセボ:N = 60→59→47
- NSAIDs + ハイドロコルチゾン: N = 77→69→54
- NSAIDs + トリアムシノロン: N = 70→65→56
皮膚疾患については、67名がアトピー性皮膚炎、22名がアレルギー性の接触性皮膚炎、79名が非アレルギー性の接触性皮膚炎、25名は脂漏性皮膚炎でした。
ランダム化に関しても、個人レベルというより、10の医療センターで行われたクラスターランダム化試験なのか、本文を読んでもいまいち分からなかったです。
Table IIを見ると、医療機関のうち4つはハイドロコルチゾン、4つはトリアムシノロン、2つはプラセボという順になっていますが、本文のmethodには患者をランダム化したと書いてあり、混乱する内容でした。
有効性のデータに関しては、医師の診察の判断になりますが、以下の通りでした:
NSAIDsと併用 | プラセボ | HCZ | TC |
N | 60 | 77 | 70 |
良好 | |||
2週後 | 16/59 | 32/69 | 43/65 |
4週後 | 16/47 | 28/54 | 42/56 |
まとめ
この研究では、オランダを対象に行われた、ステロイドとNSAIDsの併用、NSAIDs単剤の有効性を比較した研究でした。
少なくとも、NSAIDs単剤よりステロイドを併用したほうが良好な結果なようです。
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