- 下痢の時、乳糖を避けるべきか
という話題はありますが、小児科医でも意見が割れています。
急性胃腸炎のときは、小腸の乳糖分解酵素が欠乏しやすく、吸収が悪くなることが知られています。このため、乳糖を避けた方がよいのではないか、と必要性を感じる医療者がいるようです。
今回は、この方針に科学的根拠があるか検討した論文を解説してみようと思います。
先にこの研究の結論とポイントから述べましょう。
- 乳児が下痢の時、乳糖をさけたほうがよいか検討
- 乳糖をさけると下痢の期間は約1日短くなる
- 体重の改善やアシドーシスの改善も良好
基本的に、胃腸炎のとき、乳糖を避けるべきかは複数の研究が行われています。
研究の概要
今回は、小児の下痢において、乳糖を避けたほうがよいか検討した研究になります。
2004年にタイから報告されたランダム化比較試験になります。
対象患者
対象となったのは、
- 胃腸炎で入院
- 3〜24ヶ月
乳幼児が対象です。約半数がロタウイルスに感染していました。
治療
治療は、24時間、脱水補正をした後に、以下のような方針にしています。
- 通常のミルク
- 乳糖を含まないミルク
のいずれかをランダムに割り当てています。
推奨ではありませんが、国内でも乳糖を含まないミルクはあります:
研究結果
最終的に80人が参加しています。
結果は以下の通りでした:
乳糖なし | 乳糖あり | |
下痢 | 77時間 | 97.5時間 |
乳糖がないグループのほうが下痢の期間は短い傾向にありました。
これ以外にも、体重の増加は乳糖なしのグループのほうがやや良好、アシドーシスの改善も良好だったようです。
感想と考察
今回の研究に関しては、小児が下痢をしたときに、乳糖をさけたミルクにすることで、下痢の期間は1日ほど短くなる傾向にありました。
体重とアシドーシスの改善に関しては、やや有利だったようです。
まとめ
今回は、2004年にタイから報告された、乳児の下痢と乳糖に関連した研究です。
乳糖を避けると、下痢の期間はやや短くなり、体重やアシドーシスの改善にも有利だったようです。
類似の研究は多数出ているので、今後も報告していければと思います。
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