今回は、乗り物酔いに対して、繰り返しの曝露や呼吸のコントロールによって「慣れ」が促進されるかどうかを検討した研究した論文をご紹介します。
- 乗り物酔いに対して、繰り返しの曝露や呼吸のコントロールによって「慣れ」が促進されるかどうかを検討した研究
- 乗り物酔いをシミュレートした動きに繰り返し曝露すると慣れる傾向にあった
- この傾向は呼吸をコントロールしたグループでよりそれが強かった
Yen Pik SF, Billar J, Gresty MA, Golding JF. Effect of a novel motion desensitization training regime and controlled breathing on habituation to motion sickness. Percept Mot Skills 2005;101:244-56.
2005年に公表されたようです。
乗り物酔いへ慣れることはあるのか?[イギリス編]
研究の背景/目的
呼吸をコントロールすることで乗り物酔いを改善することが知られている。
本研究は、吐き気を催す運動へ、呼吸のコントロールによって「慣れ」が促進されるかどうかを検討した。
研究の方法
30名の参加者(男性13名、女性17名、年齢18~51歳)を対象に、呼吸法群と対照群に無作為に割り付けた。
無作為化は、初回の垂直軸外回転(OVAR 72度/秒(-1))の際に測定した回転耐性でバランスがとられていた。
参加者はその後、1時間の間に4回のOVARへの曝露を受けた。(加速トレーニング)。
呼吸グループは、トレーニング中と翌日の再テストの際に、テープに書かれた指示に従って呼吸をコントロールした。
研究の結果
刺激を繰り返すことで全体的に「慣れ」が生じ、運動に対する耐性の向上、症状の軽減、再テスト時の回復時間の短縮などが見られた。
また、この傾向は、呼吸をコントロールしたグループでより大きな慣れが得られた。
結論
乗り物酔いをシミュレートした動きに繰り返し曝露すると慣れる傾向にあり、この傾向は呼吸をコントロールしたグループでよりそれが強かった。
考察と感想
乗り物酔いに関して、「そのうち慣れるよ」というのは気休めだけでなく、現実としてある程度の効果はあるようです。
ただ、乗り物酔いで困っている方は「明日遠足でバスに乗りんだけど」という今日、明日の問題であることが多いです。そういう意味で、「慣れ」は確かに存在するし、呼吸を整えたら「慣れ」は誘導できるかもしれないですが、即効性のある方法ではなさそうです。
まとめ
乗り物酔いに対して、繰り返しの曝露や呼吸のコントロールによって「慣れ」が促進されるかどうかを検討した研究でした。
乗り物酔いをシミュレートした動きに繰り返し曝露すると慣れる傾向にあり、この傾向は呼吸をコントロールしたグループでよりそれが強かった。
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