科学的根拠のある子育て・育児

保育園・幼稚園に入園すると、風邪をひきやすくなるのは本当か? [アメリカ編]

  •  保育園・幼稚園に入園したら、急に風邪ばかり引くようになりました
  •  発熱の回数が増えて、大丈夫か心配です

などなど、様々な不安をお持ちの保護者が小児科外来にやってきます。

一般論ですが、乳幼児は様々なウイルスに対する免疫を獲得できていないため、よく感染症にかかります。このため、保育園・幼稚園に入ると、ご家庭にいるより、病原体に接する機会が増えて、感染症を繰り返すと考えられています。

今回はこちらの文献をピックアップしました。

少し古い研究ですが、ご家庭にいる小児と、保育園に入所した小児とで、かぜの回数がどのくらい違うか比較したものがあります。

研究の方法

1985-86年のアメリカにおいて、乳児を対象にコホート研究が行われました。家庭で育児、グループケアを利用、デイケアを利用の3つのグループに分けています。それぞれのグループの特徴ですが、

  •  家庭:兄弟姉妹のみ
  •  グループケア:家庭以外の子供が2−6人、週に20時間以上
  •  デイケア:家庭以外の子供が7人以上、週に20時間以上

となっています。

1年間追跡して、かぜの回数、期間などを検討しています。

研究の結果と考察

最終的にグループの構成は以下の通りでした

  自宅 グループケア デイケア
開始 159 40 45
終了 97 23 33

ちょっと追跡不能だった方が多いですが、そこは目を瞑って結果を見ていきましょう。

1年間の感染症/かぜの回数について

1年間のかぜの回数を追跡しています。

  自宅 グループケア デイケア
感染症, 平均回数 4.7回 6.0回 7.1回
かぜ, 平均回数 3.9回 5.1回 6.3回

自宅で育児しているグループと比較すると、保育園に通っている乳幼児はかぜの回数が年間で2−3回ほど多いのが分かります。

6回以上の感染症の割合について

乳幼児は平均して6回ほど、期間にして60日ほど年間に風邪を引きますが、それを超えた割合も比較しています。

  自宅 グループケア デイケア
6回以上 29% 65% 73%
60日以上 18% 61% 73%

年間6回という平均以上、風邪をひく小児の割合は、保育園に行っていると圧倒的に増えているのが分かります。

重症例について

著者らは重症例について、

  •  39度以上が3日間
  •  症状が10日以上遷延
  •  医療機関への受診が必要であった

としていますが、これを認めた割合は以下の通りです。

  自宅 グループケア デイケア
重症例 21% 39% 67%

症状が長引いてしまった症例は保育園に通園している方が多いですね。

一方で、このコホート研究では入院が必要であった症例はいなかったようです。
Nもそこまで大きくないので、これは評価不足だったのでしょう。
とはいえ、風邪を沢山ひいても、入院率はそれほど高くないといえます。

考察と感想

なかなか面白い研究でした。ちょっと古めの資料なので、必ずしも現代に一般化できないかもしれませんが、風邪自体はワクチンなどで完璧な予防は難しいと思うので、それほど分布は変わっていないのではと勝手ながら推測しています(ロタウイルスは除く)。

「保育園・幼稚園に入園したのですが、風邪を繰り返しています」と受診時に相談されることがあります。その返答になっているかはちょっと微妙ですが、「風邪は繰り返すものですよ」というごくごく当たり前の回答の根拠になる文献と思いました。

保育園・幼稚園に入園後、何回も風邪を繰り返す件【患者相談】 『先月から保育園に入園しました』 『入園してから、風邪を毎週のようにひいていて心配です』 『月に1回は発熱している気がしま...

風邪は確実な予防法があるわけではないので、「こういうものか」とある程度受け入れることも重要かと思っています。

まとめ

保育園・幼稚園に入ると、病原体に接する機会が増えて、感染症を繰り返します。
今回の研究では、ご家庭にいる時のかぜの回数は年間で4−5回ですが、通園するようになると7回前後まで増えるのが分かりました。

 

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Dr-KID
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このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。
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