賢明な医療の選択

曝露歴や適切な検査所見のない場合、筋骨格系症状の原因としてライム病を検査してはしない[Choosing wisely]

今回は、小児のライム病の検査に関してです。

この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。

ユーキ先生
ユーキ先生
小児のライム病の検査に関して、教えてください

Dr.KID
Dr.KID
Choosing wiselyを見てみましょう。

ポイント

  •  Choosing wisely:小児のライム病
  •  疑わしい病歴や曝露歴がない場合、検査をしない

American Academy of PediatricsからのChoosing Wisely

曝露歴や適切な検査所見のない場合、筋骨格系症状の原因としてライム病を検査してはしない[Choosing wisely]

 

Do not test for Lyme disease as a cause of musculoskeletal symptoms without an exposure history or appropriate exam findings.

The musculoskeletal manifestations of Lyme disease include brief attacks of arthralgia with early disseminated Lyme and/or intermittent or persistent episodes of arthritis in one or a few large joints, with predilection for the knee, in late disease. Lyme testing in the absence of these features and without appropriate exposure from living in or traveling to a Lyme endemic area increases the likelihood of false positive results and may lead to unnecessary follow-up and therapy. Diffuse arthralgias, myalgias, or fibromyalgia alone are not criteria for musculoskeletal Lyme disease.

曝露歴や適切な検査所見のない場合、筋骨格系症状の原因としてライム病を検査してはしない。

ライム病の筋骨格系の症状には、初期の播種性ライムによる短時間の関節痛の発作、後期の1つまたは数個の大関節(膝に好発)における断続的または持続的な関節炎のエピソードが含まれます。

これらの特徴がなく、ライム流行地域での生活や旅行による適切な暴露がない状態でのライム検査は、偽陽性の可能性が高く、不必要なフォローアップや治療につながる可能性があります。

びまん性の関節痛、筋肉痛、または線維筋痛だけでは、筋骨格系ライム病の基準とはならないでしょう。

考察と感想

小児のライム病の検査に関してでした。

病歴が大事というのはその通りで、疑わしくない状態で検査をしても、偽陽性のリスク、それに伴う不必要な検査や治療につながる可能性があります。

参考文献も読んでみようと思います:

Lantos P, Lipsett S, Nigrovic L. False positive lyme disease IgM immunoblots in children. J Pediatr. 2016(174):267-269.

Lipsett S, Nigrovic L. Diagnosis of Lyme disease in the pediatric acute care setting. Curr Opin Pediatr. 2016;28(3):287-293.

Markowicz M, Kivaranovic D, Stanek G. Testing patients with non-specific symptoms for antibodies against borrelia burgdorferi sensulato does not provide useful clinical information about their aetiology. Clin Microbiol Infect. 2015;21(1098):1103.

Moore A, Nelson C, Molins C, Mead P, Schriefer M. Current guidelines, common clinical pitfalls, and future directions for laboratory diagnosis of Lyme disease, United States. Emerg Infect Dis. 2016(22):7.

Sigal L. Musculoskeletal features of Lyme disease: understanding the pathogenesis of clinical findings helps make appropriate therapeutic choices. J Clin Rheumatol. 2011;17(5):256-265

まとめ

今回は、小児のライム病に関するchoosing wiselyをご紹介しました。

これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。

 

created by Rinker
¥6,600
(2024/12/04 20:06:30時点 Amazon調べ-詳細)

Dr. KIDの執筆した書籍・Note

医学書:小児のかぜ薬のエビデンス

小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:

小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。

医学書:小児の抗菌薬のエビデンス

こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。

日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。

created by Rinker
¥3,850
(2024/12/05 01:39:02時点 Amazon調べ-詳細)

Dr.KID
Dr.KID
各章のはじめに4コマ漫画がありますよー!

noteもやっています

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

 

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

保護者からのよくある質問に科学的根拠で答える

 

当ブログの注意点について

当ブログは医療関係者・保護者の方々に、科学的根拠に基づいた医療情報をお届けするのをメインに行なっています。参考にする、勉強会の題材にするなど、個人的な利用や、閉ざされた環境で使用される分には構いません。

一方で、当ブログ記事を題材にして、運営者は寄稿を行なったり書籍の執筆をしています。このため運営者の許可なく、ブログ記事の盗用、剽窃、不適切な引用をしてメディア向けの資料(動画を含む)として使用したり、寄稿をしないようお願いします。

ブログの記載やアイデアを公的に利用されたい場合、お問い合わせ欄から運営者への連絡お願いします。ご協力よろしくお願いします。

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。