小児科

尿素の外用薬について[レビュー]

現時点ではアトピー性皮膚炎など多くの皮膚疾患での治療の基本は保湿とステロイド外用薬です。

保湿剤の1つとして尿素入りの製剤がありますが、有効性についてはどうでしょうか。

今回は、この点について言及した論文を紹介します。

マミー
マミー
アトピー性皮膚炎などで使用される外用薬って安全ですか?

ユーキ先生
ユーキ先生
古くから沢山の研究があります。

Dr.KID
Dr.KID
一緒に見てみましょう。

ポイント

  • 尿素の外用薬に関するシステマティックレビュー
  • 軽度の刺激が最も一般的な有害事象

   2018年に発表されたようです

尿素の外用薬について[レビュー]

研究の背景/目的

バリア機能の変化は、乾皮症、アトピー性皮膚炎、乾癬などの多くの皮膚疾患と関連していると言われています。

皮膚の天然保湿因子の1つである尿素は、皮膚の保湿性と健全性の維持に重要な役割を果たしている。

研究の方法

いくつかの研究では、臨床現場での尿素の効果を調査している。

ここでは、健康な皮膚の維持および皮膚疾患の管理における尿素の効果について、入手可能な臨床証拠をまとめた。

Dr.KID
Dr.KID
意外と発表された論文が多いですね。

研究の結果

尿素を含む外用剤は,低用量(10%以下)では皮膚の保湿剤として作用し,高濃度(10%以上)では角質溶解作用を発揮する。

結論

また、尿素の浸透促進作用を利用して、抗炎症剤や抗真菌剤との併用療法にも有用である。

考察と感想

尿素の歴史は1世紀以上あり、意外と長いようですね。

尿素が皮膚の透過性を高めるメカニズムは完全には解明されていないようですが、角質細胞による水の吸収量を増加させる能力が考えられているようです(Mueller et al.2016)。

一方で、高用量では、尿素の角質溶解作用も薬剤の浸透促進に一役買っているかもしれません(Trommer & Neubert, 2006)。

この辺りは勉強不足ですので、文献を読み直してみようと思います。

Dr.KID
Dr.KID
50本以上の文献が引用されていました。

まとめ

尿素を含む外用剤は,低用量(10%以下)では皮膚の保湿剤として作用し,高濃度(10%以上)では角質溶解作用を発揮することが、過去の研究結果からわかったようです。

接触性皮膚炎やアトピー性皮膚炎を対象に行われた研究も多数あるようで、この論文を元に個々の文献も参照してみようと思います。

 

アトピー性皮膚炎のおすすめ本はこちら:

created by Rinker
内外出版社
¥1,650
(2024/10/16 08:11:00時点 Amazon調べ-詳細)

保護者も医療者も、まずこの1冊!

Dr. KIDの執筆した書籍・Note

医学書:小児のかぜ薬のエビデンス

小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:

小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。

医学書:小児の抗菌薬のエビデンス

こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。

日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。

created by Rinker
¥3,850
(2024/10/15 23:29:06時点 Amazon調べ-詳細)

Dr.KID
Dr.KID
各章のはじめに4コマ漫画がありますよー!

noteもやっています

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

 

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

保護者からのよくある質問に科学的根拠で答える

 

当ブログの注意点について

Dr.KID
Dr.KID
当ブログは医療関係者・保護者の方々に、科学的根拠に基づいた医療情報をお届けするのをメインに行なっています。参考にする、勉強会の題材にするなど、個人的な利用や、閉ざされた環境で使用される分には構いません。

Dr.KID
Dr.KID
一方で、当ブログ記事を題材にして、運営者は寄稿を行なったり書籍の執筆をしています。このため運営者の許可なく、ブログ記事の盗用、剽窃、不適切な引用をしてメディア向けの資料(動画を含む)として使用したり、寄稿をしないようお願いします。

Dr.KID
Dr.KID
ブログの記載やアイデアを公的に利用されたい場合、お問い合わせ欄から運営者への連絡お願いします。ご協力よろしくお願いします。

 

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。