今回は、イタリアにおいて、新型コロナウイルスに感染した妊婦と新生児の経過をまとめた、システマティック・レビューについて解説していきましょう。
内容が盛りだくさんでしたので、新生児についてのみフォーカスを当てます。
- 新型コロナウイルスに感染した妊婦と、その新生児(N = 256)の経過
- 胎盤・羊水・臍帯血・母乳のPCRはいずれも陰性
新生児256例のシステマティックレビューです。
研究の概要
33の研究から、385名の妊婦が新型コロナウイルスに感染しているのがわかったようです。このうち、既に出生した新生児の数は256名のようです。
- 早産(< 37週):39 (15.2%)
- 低出生体重(<2500g): 20 (7.8%)
- 子宮内胎児時ストレス: 20 (7.8%)
の内訳でした。出生時のアウトカムですが、
- NICU入室:8(3.1%)
- 器械換気:3 (1.2%)
- RDS: 12 (4.7%)
- 新生児肺炎:3 (1.2%)
- DIC: 3 (1.2%)
のようです。死亡例は3例いて、2例は妊婦が重症であったようです。1例は出産前の出血が原因のようです。
PCRや抗体検査は?
新生児の抗体をチェックしていますが、
- IgM陽性:3例
- IgG陽性:6例
のようです。(分母は不明)
臍帯血、羊水、胎盤、母乳に関しては、いずれもPCR陰性だったようです。内訳は以下の通りです:
- 臍帯血:0/30
- 羊水: 0/23
- 胎盤:0/12
- 母乳: 0/26
感想と考察
これまで見てきた論文が多かったですが、一部は目を通していない論文も含まれている印象です。
システマティックレビューは非常にありがたいのですが、データの提示の仕方をもう少し整理してくれるとありがたかったです。例えば、IgMとIgGのところは、分母が不明です。
また、臍帯血・羊水などは、分母・分子が提示されてはいますが、どの論文から何例を引っ張ったきたのかも分からない状態です。これだと、数字の正確性を確認することも難しです。データの索引も本文中で1つずつ明記すべきでしょう。
まとめ
今回は、新型コロナウイルスに感染した妊婦から出生した新生児256例のシステマティックレビューを解説しました。
このレビューによると、今のところ、臍帯血・胎盤・羊水・母乳から新型コロナウイルスのPCRが検出された例はいないようです。
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