小児科

低リスクの無症候性病変を有する乳幼児に対して、鎮静剤や全身麻酔を必要とする画像診断や処置をルーチンに行わない[Choosing wisely]

今回は、乳幼児の画像検査と鎮静に関してです。

この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。

ユーキ先生
ユーキ先生
乳幼児の画像検査と鎮静に関して、教えてください

Dr.KID
Dr.KID
Choosing wiselyを見てみましょう。

ポイント

  •  Choosing wisely:乳幼児の画像検査と鎮静
  •  頻回の鎮静が必要な場合、feed-and-wrapなどの代替策を検討する

American Academy of PediatricsからのChoosing Wisely

低リスクの無症候性病変を有する乳幼児に対して、鎮静剤や全身麻酔を必要とする画像診断や処置をルーチンに行わない[Choosing wisely]

Do not routinely perform imaging or routine elective procedures requiring sedation or general anesthesia for very young children with low-risk asymptomatic lesions.

Low-risk asymptomatic lesions such as small rubbery scalp masses representing dermoid cysts or shallow midline sacral dimples do not routinely require intervention as a young infant. Routine magnetic resonance imaging requiring anesthesia is typically not recommended. Given the US Food and Drug Administration’s Drug Safety Communication on pediatric anesthesia (www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/ucm532356.htm) warning that general anesthesia and sedation drugs used in children younger than 3 years for anesthesia of more than 3 hours or repeated use of anesthetics may affect the development of children’s brains, risks and benefits of elective imaging or procedures should be carefully weighed (http://smarttots.org/). If imaging is necessary, consider approaches such as feed-and-wrap for MRI in infants or referral to specialists to develop a clinical follow-up plan and timing of intervention as appropriate.

低リスクの無症候性病変を有する乳幼児に対して、鎮静剤や全身麻酔を必要とする画像診断や処置をルーチンに行わない。

小さなゴ頭皮の腫瘤(デルモイド嚢胞など)や浅い正中線の仙骨のくぼみなどの低リスクの無症状の病変は、幼い乳児ではルーチンに介入する必要はない。麻酔を必要とするルーチンのMRIは、一般的に推奨されない。

FDAの小児麻酔に関する医薬品安全性情報(www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/ucm532356.htm)によると、3歳未満の小児に全身麻酔や鎮静剤を3時間以上使用したり、麻酔薬を繰り返し使用したりすると、小児の脳の発達に影響を及ぼす可能性があると警告されている。

このことから、選択的な画像診断や処置のリスクとメリットを慎重に検討する必要がある(http://smarttots.org/)。

画像診断が必要な場合には、乳幼児のMRIのフィードアンドラップや、臨床的なフォローアップ計画や適切な介入のタイミングを策定するための専門家への紹介などのアプローチを検討する。

考察と感想

乳幼児の画像検査と鎮静に関してでした。

脳への発達の影響に関しては、どのくらいの質の研究で行われたのかは気になります。また、feed-and-wrapがどのくらい有効なのか、これも私自身あまり知らないので、調べ直す必要があると思いました。

参考文献も読んでみようと思います:

Andropolous DB, Greene MF. Anesthesia and developing brains: implications of the FDA warning. N Engl J Med. 2017;376(10):905-907

まとめ

今回は、乳幼児の画像検査と鎮静に関するchoosing wiselyをご紹介しました。

これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。

 

created by Rinker
¥6,600
(2024/10/15 22:17:39時点 Amazon調べ-詳細)

Dr. KIDの執筆した書籍・Note

医学書:小児のかぜ薬のエビデンス

小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:

小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。

医学書:小児の抗菌薬のエビデンス

こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。

日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。

created by Rinker
¥3,850
(2024/10/15 23:29:06時点 Amazon調べ-詳細)

Dr.KID
Dr.KID
各章のはじめに4コマ漫画がありますよー!

noteもやっています

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

 

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

保護者からのよくある質問に科学的根拠で答える

 

当ブログの注意点について

当ブログは医療関係者・保護者の方々に、科学的根拠に基づいた医療情報をお届けするのをメインに行なっています。参考にする、勉強会の題材にするなど、個人的な利用や、閉ざされた環境で使用される分には構いません。

一方で、当ブログ記事を題材にして、運営者は寄稿を行なったり書籍の執筆をしています。このため運営者の許可なく、ブログ記事の盗用、剽窃、不適切な引用をしてメディア向けの資料(動画を含む)として使用したり、寄稿をしないようお願いします。

ブログの記載やアイデアを公的に利用されたい場合、お問い合わせ欄から運営者への連絡お願いします。ご協力よろしくお願いします。

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。