科学的根拠のある子育て・育児

手洗い、マスク、ガウンの感染予防効果はどのくらい?[シンガポール編]

感染予防として、手洗い・マスクはよく言われますが、どのくらいのエビデンスがあるのでしょうか。

今回は、これらを検討したシンガポールからの研究を調べてみました。SARS状況下での報告です。

ポイント

  •  シンガポールにおいて、SARS流行時に手洗いやマスクの予防効果を検証
  •  マスクや頻回の手洗いは、感染予防になる
マミー
マミー
マスクって感染症予防になりますか?

Dr.KID
Dr.KID
色々と報告はあるようです。過去の文献をみてみましょう。

参考文献

Factors associated with transmission of severe acute respiratory syndrome among health-care workers in Singapore

  2003年のSARS流行時の研究です。

 研究の概要

方法

シンガポールにおいて、case-control studyが行われました。

ケースはSARS感染者、コントロールは非感染者の医療従事者です。ケースはWHOの基準によって診断され、その後に抗体検査をして確定しているようです。

手洗い、マスクの着用などに予防効果があったのかを検証しています。

結果

 

ケース

コントロール

OR

N

36

50

 

N95マスク

3

23

0.1
(0.03, 0.4)

グローブ

10

22

0.5
(0.2, 1.2)

ガウン

5

13

0.5
(0.1,  1.4)

接触後の手洗い

27 46

0.06
(0.01, 0.5)

どの医療的な予防策も、予防効果がありそうな結果ですが、特に手洗いとマスクがその効果が強かったようですね。

感想と考察

すごく一般的な内容ですが、SARSの流行期において、N95マスクを着用、患者の診察後に手を洗う。グローブやガウンをするといった感染防御は重要ということです。主に医療者向けの論文ですから、これを一般の集団に当てはめるのは、やや難しいですね。

Dr.KID
Dr.KID
一般化は慎重に。

まとめ

SARS流行期において、マスクの着用、診察後の手洗い、グローブやガウンといった感染予防策は、有効性を示唆するデータがでています。

 

Dr. KIDの書籍(医学書)

小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:

小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。

 

新刊(医学書):小児の抗菌薬のエビデンス

こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。

日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。

created by Rinker
¥3,850
(2024/10/12 23:26:47時点 Amazon調べ-詳細)

 

Noteもやっています

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

 

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

保護者からのよくある質問に科学的根拠で答える

 

 

当ブログの注意点について

Dr.KID
Dr.KID
当ブログは医療関係者・保護者の方々に、科学的根拠に基づいた医療情報をお届けするのをメインに行なっています。参考にする、勉強会の題材にするなど、個人的な利用や、閉ざされた環境で使用される分には構いません。

Dr.KID
Dr.KID
一方で、当ブログ記事を題材にして、運営者は寄稿を行なったり書籍の執筆をしています。このため運営者の許可なく、ブログ記事の盗用、剽窃、不適切な引用をしてメディア向けの資料(動画を含む)として使用したり、寄稿をしないようお願いします。

Dr.KID
Dr.KID
ブログの記載やアイデアを公的に利用されたい場合、お問い合わせ欄から運営者への連絡お願いします。ご協力よろしくお願いします。

 

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。