プラニルカストを使用した場合と使用しなかった場合のRSV感染を持つ乳児における呼吸サポートの使用を比較した研究を紹介します。
プラニルカストとRSウイルス感染を持つ乳児における呼吸サポート
研究の背景/目的
乳児では、RSウイルス(RSV)感染が時折、呼吸サポートが必要な重篤な症状を引き起こすことがありますが、主な治療法は対症療法です。
本研究では、プラニルカストを使用した場合と使用しなかった場合のRSV感染を持つ乳児における呼吸サポートの使用を比較しました。
研究の方法
本研究は、2012年から2019年の間に日本の3つの二次医療施設に入院したRSV感染を持つ10か月未満の乳児を対象とした後ろ向きコホート研究でした。
乳児は、プラニルカストを使用したかどうかに応じて2つのグループに分けられました。
主要アウトカムは、呼吸サポート(高流量鼻カニューレ、鼻マスク持続陽圧呼吸療法、または人工呼吸器)でした。
副次アウトカムは、入院日数、呼吸サポート開始時または入院中の最悪の症状時のGlobal Respiratory Severity Score(GRSS)でした。
傾向スコアをマッチさせ解析を行いました。
研究の結果
合計492人の乳児が解析に含まれ、うち147組が傾向スコアでマッチしました。
プラニルカストを使用した乳児では呼吸サポートの使用が統計学的に有意に低かった(3.4%[5/147] vs. 11.6%(17/147))。
傾向スコアをマッチさせた解析では、プラニルカストの使用は呼吸サポートが必要な確率が統計学的に有意に低下させることが関連していました(オッズ比:0.27、95%信頼区間:0.08–0.79、P = 0.01)が、入院日数(中央値:4日)とGRSS(プラニルカストを使用した乳児および使用しなかった乳児の中央値:2.804および2.869)は、違いはありませんでした。
結論
プラニルカストの使用は、RSV感染を持つ10か月未満の乳児で呼吸サポートが必要となる可能性を減らすことと関連していました。
考察と感想
RSV感染症の重症化予防に有効な治療法があまり存在しないのもあり、とても貴重な報告と思います。過去に類似のRCTがあった気がするのですが、記憶が曖昧なので、また調べてみようと思いました。
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