科学的根拠のある子育て・育児

臨床的に細菌性副鼻腔炎が疑われたときの抗菌薬の効果について[アメリカ編]

かぜの場合、最初の数日〜1週間までに、症状は徐々に落ち着いてくることが多いですが、副鼻腔炎の場合は、一回よくなったかと思いきや、再度悪化することがよくあります。

このような時に抗菌薬を使うことが推奨されていますが、この根拠を示した論文をお伝えできればと思います。

先にこの研究の結論とポイントから述べましょう。

ポイント

  •  小児において、持続性、重症、悪化する副鼻腔炎を対象にRCT
  •  抗菌薬は治療成功率を上昇させた
マミー
マミー
どのような鼻水に気をつけたらよいですか?

Dr.KID
Dr.KID
いくつかポイントがありますが、1回よくなったと思いきや、また悪化してくるような場合は要注意です。

 鼻汁が10日以上改善しなかったり、1回よくなっても再度悪化してくる場合は要注意です。

 研究の概要

「持続性」「重症」「悪化する」の基準をもと臨床的に副鼻腔炎と診断し、抗菌薬の有効性を検証した二重盲検ランダム化比較試験があります。治療グループはアモキシシリン・クラブラン酸を、コントロールグループはプラセボを投与しています。

最終的に56名、平均5歳が対象となりました。治療グループのほうが「治癒」となる割合は高く(50% vs. 14%; RR 3.5 [1.319.33]RD 35.7% [13.158.3%])、治療失敗のリスクは低い(14% vs. 68%; RR 0.21 [0.080.54]; RD -53.6% [-75.2-32.0%])傾向にありました。

 

感想と考察

急性副鼻腔炎のガイドラインも、こういったエビデンスの積み重ねでできているのが解りました。この筆頭著者は、20年がかりで、あれこれと研究されているようですね。

Dr.KID
Dr.KID
鼻水の色が黄や緑で、長引く場合、1回よくなったと思いきや悪化した場合は、急性副鼻腔炎に注意。

まとめ

今回の研究は、持続性、重症、悪化する副鼻腔炎を対象にRCTをしたところ、抗菌薬の有効性が確認されました。

経過と診察で対象を絞ることは重要ですね。

あと、この論文は小児の副鼻腔炎を語る上で、非常に重要なものと思いました。

Dr. KIDの書籍(医学書)

小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:

小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。

 

新刊(医学書):小児の抗菌薬のエビデンス

こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。

日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。

created by Rinker
¥3,850
(2024/04/30 20:20:39時点 Amazon調べ-詳細)

 

Noteもやっています

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

 

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

保護者からのよくある質問に科学的根拠で答える

 

 

 

当ブログの注意点について

Dr.KID
Dr.KID
当ブログは医療関係者・保護者の方々に、科学的根拠に基づいた医療情報をお届けするのをメインに行なっています。参考にする、勉強会の題材にするなど、個人的な利用や、閉ざされた環境で使用される分には構いません。

Dr.KID
Dr.KID
一方で、当ブログ記事を題材にして、運営者は寄稿を行なったり書籍の執筆をしています。このため運営者の許可なく、ブログ記事の盗用、剽窃、不適切な引用をしてメディア向けの資料(動画を含む)として使用したり、寄稿をしないようお願いします。

Dr.KID
Dr.KID
ブログの記載やアイデアを公的に利用されたい場合、お問い合わせ欄から運営者への連絡お願いします。ご協力よろしくお願いします。

 

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。