科学的根拠のある子育て・育児

インフルエンザ迅速診断の感度・特異度 [ニカラグア・2009]

インフルエンザウイルスの診断は、なかなか臨床的に判断するのが難しいのもあり、迅速検査を利用することがあります。

迅速検査ですが、感度・特異度というものがあり、可能であれば、この両方が高いタイミングで検査をする方が良いと考えられています。およそのタイミングですが、発熱して1日後くらいが最も感度が高いのがわかっていますが、その証拠となる論文をまた1つ発見したので、こちらで報告させていただきます。

ポイント

  •  インフルエンザ検査の妥当性を評価した研究 (ニカラグア)
  •  発熱初日の感度は41%、2日目以降は72%
マミー
マミー
どうして1日後くらいがいいのですか?

Dr.KID
Dr.KID
鼻腔内でウイルスが増殖するからと考えられています。

 

研究の方法

今回の研究は、アメリカの研究者がニカラグアで行なったものです。

対象となったのは、

  •   2-14歳
  •    発熱後5日以内の小児

などが該当しています。

検査について

検査は、

  •  迅速検査:Quick Vue rapid test
  •  PCR

を使用して、妥当性の評価をしています。

Dr.KID
Dr.KID
感度、特異度、陽性的中率(PPV)、陰性的中率(NPV)

研究結果と考察

最終的に267名の検体を採取し、92(35%)がインフルエンザ陽性でした。

それぞれの結果を以下に示します

 感度・特異度

  インフル 感度 特異度
初日 24/73
(33%)
41.7% 97.9%
2日目以降 68/194
(35)
72.1% 98.4%

やはり初日の感度は低く出ています。

 陽性的中率 (PPV)・陰性的中率 (NPV)

陽性的中率と陰性的中率は以下の通りです:

  インフル PPV NPV
初日 24/73
(33%)
90.9% 77.0%
2日目以降 68/194
(35)
96.1% 86.6%

陰性的中率は初日は77%と低めです。逆にいうと、初日に「検査陰性と言われたけれど、実は23%はインフルエンザだった」という計算になります。

 感想と考察

ニカラグアで行われた研究ですが、やはりインフルエンザ初日における迅速検査の感度は低く出ています。検査に正確性を求めるのであれば、24時間くらい経過してからが良いでしょう。

Dr.KID
Dr.KID
熱が出て、具合が悪そう(呼吸が苦しそう、水分が取れない、意識が悪いなど)であれば、検査の精度云々は関係なしに、お早めに受診しましょう。

まとめ

ニカラグアで行われた研究においても、やはりインフルエンザ初日における迅速検査の感度はやや低く出ています。検査に正確性を求めるのであれば、24時間くらい経過してからが良いでしょう。

一方で、お子さんの全身状態が悪い時(呼吸が苦しそう、水分が取れない、意識が悪い、けいれんをした、など)は、検査の精度とは関係なく、お早めに受診しましょう。

マミー
マミー
本人がある程度元気なら、1日くらい様子を見てから受診がいいですか?

Dr.KID
Dr.KID
「検査の正確性をあげる」という意味では、そうだと思います…

まとめ

  •  インフルエンザ検査の妥当性を評価した研究 (ニカラグア)
  •  発熱初日の感度は41%、2日目以降は72%

 

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このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。
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