小児科

運動発達の段階で分けた、起こりやすいこどもの事故について【乳幼児の事故予防】

 

不慮の事故について

現在の日本では、不慮の事故が小児の死因の上位(2〜3位)に常に入っています。

また、死亡に至らなくても、小児の事故は日常的に起こっており、事故後の受診が途絶えることはありません。

事故と聞くと、なんとなく他人事のように感じてしまうかもしれませんが、誰にでも起こる可能性のあるものとして、予防対策を考えていくとよいでしょう。

 今回は、

  1. 生後すぐ〜はいはいが始める前
  2. はいはい〜歩行開始まで
  3. 歩行開始後

の3点に分けて説明していこうと思います。

新生児期から自動車にはチャイルドシートが必要ですよ

こどもを自動車に乗せるときは、チャイルドシートを装着しましょう。 チャイルドシートの着用は、法律で義務づけられています。

交通事故後に受診された患者さんで;

  • 赤ちゃんは抱っこして座らせていました
  • チャイルドシートは使用せずに座らせていました

という方もいます。

軽い事故で済めばよいのですが、ひどいケースだと、頭をひどく打ち、頭の中に出血をしてしまうケースもあります。

出産前からチャイルドシートを準備

出産後5日ほどすると、医療機関から自宅へ赤ちゃんを連れ帰ることになります。

この時から、チャイルドシートは必要になりますので、出産前から準備しておくのをお勧めしています。

 

はいはいが始まる前の事故

はいはいが始まる前の事故として多いのは;

  • 窒息
  • 転落
  • 自動車事故

の3つです。

窒息について

この時期は自分はベッド上での生活がメインになるため、

  • ひも
  • コード類
  • ビニール

といった、窒息しやすいものを傍に置かないようにしましょう。

添い寝をすると、大人の体や布団がかぶさって窒息することがあります。

赤ちゃんは赤ちゃん用のベッドに寝かすようにしましょう。

転落について

転落の原因として 

  • ソファーからの転落
  • ベッドの柵があげていなくて転落

の2パターンが多いです。

ソファーには寝かせないようにするのと、ベッドの柵はいつも上げておくようにしましょう。

 

はいはいが始まってから

はいはいが始まると行動範囲が広がり、好奇心旺盛のため、危険なものに近づく可能性が高くなります。

事故として多いのは;

  • 誤飲と窒息
  • やけど
  • 転落や頭部外傷

があげられます。

誤飲と窒息について

小さなおもちゃやタバコの誤飲が多いです。

また、誤飲による窒息で死亡する可能性の高い時期です。

「直径 4 cm以下のものは、すべて口の中にいれる危険性がある」と覚えておくとよいでしょう。

例えば、ペットボトルの蓋や、小銭、アクセサリーなども危険です。

やけどについて

  • ストーブ
  • アイロン
  • お湯
  • 熱い料理

による、やけどが多いです。

軽い火傷であれば問題ないことがおおいですが、重症の場合、皮膚に跡が残ってしまったり、その後の機能に影響することもあります。

熱いものには注意しましょう。

 転落や頭部外傷

はいはいから歩き始めの時期になってくると、さらに行動範囲が広がります。

ちょっとした段差から転落することがありますし、転落と一緒に頭を打撲してしまうことがあります。

階段や玄関など、段差のあるところや、進入してほしくない場所には、柵などをつけておくとよいでしょう。 

まて、テーブルや机の角に頭をぶつけて、皮膚が切れてしまうことがあります。

あらかじめ角は保護してあげるとよいでしょう。

 

歩きだしてからの事故

歩きだしてからは、さらに行動範囲が広がります。起こりやすい事故は

  • 転落
  • やけど
  • 溺水
  • 交通事故

などが可能性としてあげられます。

転落について

基本は、はいはいの時期と同じで、階段からの転落や、ひどい場合はベランダからの転落があります。

特にベランダの柵は乗り越えると非常に危ないので、踏み台になるものは置かないようにしましょう。

 

やけどについて

ライタやマッチによる火遊びで、ひどい火傷をおこしたり、死亡してしまうケースもあります。

 子供が簡単に使えない、チャイルドレジスタンスのライターもありますので、小さなお子さんのいる家や、帰省先はこちらを購入しておくと良いでしょう。

溺水について

赤ちゃんは 10〜20 cmの水でも溺れてしまうことがあります。

特に多いのは、浴槽の残り湯や家庭用プールでの溺水です。

もちろん、プールなどでも水遊びをするときは、絶対にそばから離れないでください。

交通事故について

屋外では飛び出し事故を起こしてしまうことがあります。

特に交差点など視界の悪い場所では、十分に気をつけましょう。

 

まとめ

今回は、起こりやすい事故を運動発達にあわせて説明してきました。

それぞれの運動発達段階で、起こりやすい事故は異なります。

 

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Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。