新型コロナウイルス

小児のCOVID-19 (新型コロナウイルス感染症) の情報(3月23日版)

今回は、新型コロナウイルスに感染した小児171例の研究結果を紹介させていただきます。

武漢の小児病院からの報告で、非常に重要でしょう。

ポイント

  •  新型コロナウイルス感染症の確定171例の分析
  •  ICU入室が必要だったのは1.8%、死亡例は0.5%(1例)
  •  発熱、咳、咽頭発赤が多い症状
マミー
マミー
小児は重症化しづらいって本当ですか?

Dr.KID
Dr.KID
まとまった報告が出たので、確認してみましょう。

感染者の推移 (3/22):

  •  世界:285,483人
  •  中国:81,054人
  •  日本:1037人
  •  アメリカ:19,624人
  •  韓国:8897人
  •  イタリア:53,578人
  •  イラン:20,610人

イタリアとアメリカがすごい勢いで増えていいます。気づけば、ヨーロッパの国々も増加傾向にあります。ドイツが18,000名前後、スペインが25,000名くらいに増加しています。 

  小児の大規模調査について

新しい小児の大規模調査を発見したので、簡単にまとめようと思います。

 概要

今回は、新型コロナウイルスのPCR検査をうけた1391名の小児のうち、陽性が確定した171名の研究です。

年齢分布

まずは年齢の分布から見ていきましょう。

  N %
年齢    
< 1 31 18.1%
1-5 40 23.4%
6-10 58 33.9%
11-15 42 24.6%

どの年齢層にも変わらずいますね。

Dr.KID
Dr.KID
乳幼児は感染しないわけではありませんね。

症状・診断に関して

症状・診断に関して

  N %
無症状 27 15.8%
上気道炎 33 19.3%
肺炎 111 64.9%

無症状のケースが15%、かぜ症状が20%、肺炎が残り65%のようです。

症状に関しては、以下の通りでした:

症状 N %
83 48.5%
咽頭発赤 79 46.2%
発熱 71 41.5%
発熱期間 3日 1-16
< 37.5度 100 58.5%
37.5-38.0度 16 9.4%
38.1-39.0度 39 22.8%
> 39.0度 16 9.4%
下痢 15 8.8%
倦怠感 13 7.6%
鼻汁 13 7.6%
嘔吐 11 6.4%
鼻閉 9 5.3%
SpO2 < 92% 4 2.3%

発熱、咳、咽頭の発赤といった風邪症状が多い印象ですね。時に下痢を認めることもあるようです。

CT所見

CT所見は以下の通りでした:

CT所見 N %
すりガラス陰影 56 32.7%
局所的な斑状影 32 18.7%
両側性の斑状影 21 12.3%
間質性陰影 2 1.2%

こちらも既報と似ていて、すりガラス陰影が多いようですね。

重症例・死亡例について

ICU入室が必要だったのは、3例のようです。合併症があったようで、

  1.  水腎症
  2.  白血病
  3.  腸重積

だったようです。

腸重積のあった小児は、多臓器不全となり、入院後4週間で死亡したようです。

Dr.KID
Dr.KID
腸重積に罹患していた小児が新型コロナウイルスに罹患して、多臓器不全になるというストーリーがかなりレアな気がしました(ちょっと理解が難しいです)。

 感想と考察

大きめのデータなので、小児における全体像がつかみやすかったです。

入院した小児で、酸素需要があったのは2.3%、ICU入室となったのが1.8%、死亡例が0.6%でした。

最重症となる例は、割合としては、成人と比較して多くはない印象です。

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)が騒動になって1ヶ月以上になりますが、小児に関しては、徐々に情報が増えてきた印象です。現時点で分かっていることをまとめると、以下の通りです:

Dr.KID
Dr.KID
これまでに私が検索した報告例のまとめです。

まとめ

今回は、

  •  中国と日本の感染者数の推移
  •  小児の171例の解析結果

についてアップデートさせていただきました。

引き続き、新しい情報、過去の文献を読み込んだら、報告させてもらおうと思います。

新刊(医学書)発売決定!

小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:

noteもやってます

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

保護者からのよくある質問に科学的根拠で答える

 

当ブログの注意点について

Dr.KID
Dr.KID
当ブログは医療関係者・保護者の方々に、科学的根拠に基づいた医療情報をお届けするのをメインに行なっています。参考にする、勉強会の題材にするなど、個人的な利用や、閉ざされた環境で使用される分には構いません。

Dr.KID
Dr.KID
一方で、当ブログ記事を題材にして、運営者は寄稿を行なったり書籍の執筆をしています。このため運営者の許可なく、ブログ記事の盗用、剽窃、不適切な引用をしてメディア向けの資料(動画を含む)として使用したり、寄稿をしないようお願いします。

Dr.KID
Dr.KID
ブログの記載やアイデアを公的に利用されたい場合、お問い合わせ欄から運営者への連絡お願いします。ご協力よろしくお願いします。

 

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。