科学的根拠のある子育て・育児

茶カテキンでうがいをすると、インフルエンザ感染のリスクは下がるか?[日本編]

感染予防といえば、手洗い・マスク・うがい、などと言われています。

これまで、手洗いとうがいのエビデンスは沢山解説してきましたが、うがいはどうでしょうか。

日本で行われた研究で、カテキンを含むと予防効果が上乗せされるか検討した研究もあったようですので、今回はそちらを解説していきます。

ポイント

  •  カテキン入りのうがい液の有効性を検証した観察研究
  •  水道水と比較して、インフルエンザの予防効果はほとんどなさそう
  •  かぜのリスクはやや低下するかもしれないが、追加検証が必要
マミー
マミー
うがいの有効性ってどうなのでしょうか?

Dr.KID
Dr.KID
過去の文献をみてみましょう。

  カテキンの有無で、うがいの有効性を比較しています。

 研究の概要

背景

カテキンのインフルエンザウイルス感染予防効果を示唆した研究はあるが、臨床的な有効性は決定的ではない。

方法

インフルエンザシーズンの開始時に、日本において2005年12月から2006年3月に二重盲検ランダム化比較試験が実施された。

20~65歳の404人の健康なボランティアを組み入れ、無作為にうがいを2群に振り分けた:

  • 茶カテキン抽出液(約400μg/mLのカテキン)
  • 茶カテキン抽出物無し

両群で毎日3回うがいを90日間行った。

すべての参加者は研究に参加時にインフルエンザワクチンを接種された。

主要評価項目は、インフルエンザウイルス迅速検査により同定したインフルエンザ感染症状の発生率であった。

結果

ITT解析で、カテキン群の195人とプラセボ群の200人を分析した。参加者のうち6名 (1.5%) はインフルエンザに感染した。

カテキン群(1.0%、参加者2名)におけるインフルエンザ感染の発生率は対照群(2.0%、参加者4名)とほとんど変わりはなかった。

リスク差に換算すると-0.1% [-3.4%〜1.4%]、リスク比だと0.51 [0.10〜2.77]です。アウトカムが稀ですので、リスク比にしてしまうと、ややミスリードですね。

かぜ or インフルエンザ症状の累積発症率もみています。

この図をみると、カテキン入りのほうが累積発症率は低いようにもみえますが、統計学的な有意差はなかったようです。追加検証は必要と思います。

月毎の累積発症率は以下の通りでした:

カテキン あり なし
30日 0.134
[0.086〜0.182]
0.235
[0.176〜0.294]
60日 0.327
[0.261〜0.393]
0.382
[0.314〜0.450]
90日 0.437
[0.366〜0.492]
0.479
[0.409〜0.549]

結論

2005~2006年シーズンのインフルエンザワクチンを接種した健康な成人におけるインフルエンザの予防に対する茶カテキンによるうがいの有効性は示唆されなかった。

しかし、より感受性の高い集団、すなわちインフルエンザウイルスに対するワクチン接種を受けていない集団、小児、高齢者、または免疫抑制患者における影響は、まだ確定的ではない。

 

感想と考察

カテキンには抗菌・抗ウイルス作用があるという考え方もあるようで、今回の研究が行われました。

インフルエンザ接種をうけている成人では、インフルエンザの予防効果はあまりなさそうでした。一方で、風邪の予防には多少よいのかもしれないですが、不確実であり、再検証は必要かと思います。

Dr.KID
Dr.KID
この研究だけでの判断は難しいですね。

まとめ

今回の研究では、日本において、カテキン入りのうがい液が、水道水と比較して有効性があるかを検証したランダム化比較研究になります。

インフルエンザの予防接種をした成人においては、カテキン入りのうがい液は、インフルエンザの予防効果はなさそうでした。

 

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Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。