今回は小児の細気管支炎に対する診療方針に関してです。
この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。
気管支拡張薬(例えば、メプチン®︎、ホクネリン®︎、ツロブテロールなど)は、小児の急性細気管支炎においてルーチンでは使用すべきでないという内容です。
- Choosing wisely:急性細気管支炎における気管支拡張薬について
- ルーチンに使用はすべきでない
アメリカのSociety of Hospital Medicine – Pediatric Hospital MedicineからのChoosing Wisely
小児の細気管支炎に気管支拡張薬を日常的に使用しない[Choosing wisely]
Don’t routinely use bronchodilators in children with bronchiolitis.
Published guidelines do not advocate the routine use of bronchodilators in patients with bronchiolitis. Comprehensive reviews of the literature have demonstrated that the use of bronchodilators in children admitted to the hospital with bronchiolitis has no effect on any important outcomes. There is limited demonstration of clear impact of bronchodilator therapy upon the course of disease. Additionally, providers should consider the potential impact of adverse events upon the patient.
小児の細気管支炎に気管支拡張薬をルーチンで使用しない。
公表されているガイドラインでは、細気管支炎の症例に気管支拡張薬をルーチンに使用することは提唱されていません。
包括的な文献レビューでは、気管支炎で入院した小児における気管支拡張薬の使用は、重要な転帰に影響を与えないことが示されています。
気管支拡張薬による治療が疾患の経過に明確な影響を与えるようなケースは非常に限られている。さらに、医療提供者は、有害事象が患者に及ぼす潜在的な影響を考慮すべきである。
考察と感想
細気管支炎に対する気管支拡張薬の使用について、ルーチンには使用しないという内容でした。気管支拡張薬は気管支喘息発作の治療としては有効でありますが、細気管支炎に対してはエビデンスは限定的で、その有効性は疑問視されています。
「ルーチンには」と少し曖昧にいっているのは、おそらく喘息の素因のあるお子さんなどを配慮してではないでしょうか。喘息の要素がありそうか否か、個々の症例での判断が必要と思います。
まとめ
今回は、choosing wiselyにおける、小児の急性細気管支炎における気管支拡張薬に関してご紹介しました。
これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。
気管支拡張薬のエビデンスに関しては、書籍の方でも詳しく書いています↓↓
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Dr. KIDの執筆した書籍・Note
医学書:小児のかぜ薬のエビデンス
小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:
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小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。
医学書:小児の抗菌薬のエビデンス
こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。
日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。
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