小児科

赤ちゃんの歩行開始はいつですか?【独り歩き・歩き方の相談】

  •  「赤ちゃんはいつから歩き出しますか?」
  •  「うちの子供、まだ歩かないのですが、大丈夫でしょうか?」

など、歩行開始時期に関する質問を受けることが時にあります。
大まかな目安ですが、1歳前後から歩き出し、1歳半までに安定して歩けるようになります。

Dr.KID
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個人差はありますが、1歳半までに安定して歩けるようになるのが目安です。

一人歩きは1歳6ヶ月が目安

 赤ちゃんの運動発達の評価は評価は『微細運動』と『粗大運動』に分けられます。
このうち、歩行は後者の粗大運動に分類されます。

デンバー発達判定法

 

こちらの表は、小児の発達の指標でして、「デンバー発達判定法」といわれるものです。
デンバー発達判定法から、1歳5ヶ月で、90%以上の子どもが上手に歩けるようになるため、歩行は1歳6ヶ月が目安です。

1歳半健診で安定して一人歩きできない子は、粗大運動の発達が遅いと判断され、専門機関へ紹介されることが多いでしょう。

歩き始めが遅くても、最終的に発達に問題ない子もいます

1歳半健診で引っかかり、専門機関に受診となると、かなり落胆される保護者の方が多いでしょう。
ですが、子どもの発達には、かなり個人差があり、子供によってバラバラです。
たまたま歩き始めが遅くても、シャフラースロー・スターターの子供は将来的に問題ないことが多いです。

正常な運動発達について

ほとんどの乳児は;

  1. おすわりが安定する
  2. ハイハイができるようになる
  3. つかまり立ちをする
  4. 伝い歩きをする
  5. 独立歩行をする

の順に発達していきます。
ですが、シャフラーの場合、このような順番で発達しないのです。

Dr.KID
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みんなが同じように発達するとは限らないのです。

シャフラーについて

シャフラーは英語で『Shuffling baby』、日本語では『いざり児』といったりします。

シャフラーとは、非常に軽度の(下肢の)筋緊張低下を伴う子供のことをいいます。
歩行の遅れ以外にも、おすわりが遅いこともあります。

シャフラーの子は、まず最初に腹ばいになるのを嫌がり、寝返りも嫌がります。
そして、ハイハイをせずに、座ったまま、お尻をずらして移動します。
さらに、足の裏を床につけるのを嫌がるため、つかまり立ちが遅れ、結果的に歩行開始が遅れてしまうのです。

シャフラーの場合、2歳頃までに独立歩行ができるようになり、その後は運動発達において問題ないことが多いです。
もちろん、運動発達以外は正常ですので、CTや脳波の検査をしても異常所見はありません。

しばしば家族歴を認めることがあります(兄弟や父母が同じ傾向があった)。

 

スロー・スターターについて

スロー・スターターは、英語で『slow starter』といいます。
このスロー・スターターでは、神経の成熟が遅れているため、歩行が遅れることを言います。

神経の成熟が遅れているため、粗大運動だけでなく、微細運動や言語など、全般的に発達の遅れがあります。

このため、ある期間は精神発達遅滞が疑われるます。
ですが、ある時を境にして、急激に発達が進んで、正常な発達の子と全く変わらなくなります。

シャフラーの子は、お母さんから話を聞いていると、何となく「シャフラーっぽいな」と思うのですが、スロー・スターターの子は1〜2年の経過をみないと見分けが難しいです。

Dr.KID
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1回の診察では、見分けられないことも多々あります。

1歳半までに歩行できたら安心か!?

1歳半までに歩行できていたら、大まかに言えば安心してもらって大丈夫ですが、注意は必要です。
というのも、非常に転びやすい・歩行の仕方がおかしい、などもあるからです。

歩行の仕方がおかしい例

歩き方がおかしい例として;

  • ぺたぺた歩行
  • 内反歩行(うちわ歩行)
  • 外反歩行(そとわ歩行)
  • 尖足歩行

が代表的です。

多くのお子さんは、生理的な問題で生じており(つまり異常でない、ということです)、年齢とともに軽快します。
しかし、時に筋疾患、脳性麻痺などの中枢神経疾患、運動失調、骨・関節疾患がみつかることもあります。

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歩き方にも注意してみています。

運動発達に遅れのある子どもの対応法

明らかな発達の遅れは、わりと早い段階で医療関係者に問題視され、専門機関に紹介されるでしょう。

しかし、軽度の遅れは家庭生活ではあまり問題とならず、健診でスルーされてしまうこともあります。
この場合、幼稚園・保育園などで、社会生活・集団生活をするようになって、はじめて指摘されるます。

現代の医療では、発達の遅れを薬物治療して、正常化することはできません。

ですが、リハビリなどのを通して、発達の遅れを最小限に留め、家庭・社会生活・集団生活へ適応できるように支援することは可能です。
大切なことは、専門家から発達の遅れや程度をきちんと評価してもらい、適切な支援・療育・治療をすることといえます。

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ご心配な点があれば、小児科でご相談ください。

◎ 赤ちゃんが伝い歩き、歩行を始めると、机・テレビ台の角に頭などをぶつけてしまうことが多々あります。予め、怪我をしないように、危ない場所をガードしておくのがよいでしょう。

 

 

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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。