ドクター・キッド

〜小児科医が解説する子供の健康・病気と単なる雑記〜

乳児湿疹とアトピー性皮膚炎の見分けは難しい!?

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1〜2歳くらいまでは皮膚トラブルが多い

1歳〜2歳くらいの乳幼児は、皮膚トラブルが非常に多い時期です。
この原因は、乳幼児期の皮膚の特徴にあります。
皮膚のバリア機能に重要な役割を担っているのは

  1. 皮脂
  2. 角質内の水分

の2つです。

■ 皮脂について

生後まもなくは、皮脂の分泌が非常に多いです。
これは、母親から受け取っていた女性ホルモンが出産を期に急激に減少し、男性ホルモン優位になるためです。
このため、生後数ヶ月は、皮脂腺から皮脂が盛んに分泌され、ニキビが出来やすいです。
この赤ちゃんのニキビを『新生児痤瘡(ざそう)』といいます。

■ 角質内の水分について

数ヶ月で皮脂腺の分泌は徐々に減ってきます。
これまで皮脂のおかげで皮膚の水分は蒸発しにくかったのですが、皮脂が減るの乾燥肌となります。
成人とくらべて、赤ちゃんの角質内の水分量はかなり少ないです。
ですので、乾燥肌になりやすいです。

■ 乳児期は皮膚トラブルが多い

このように、皮脂の分泌が不安定だったり、乾燥肌になりやすいく、乳児期の皮膚は未熟なので、皮膚のコンディションは崩れやすいです。
これに加え、科学的な刺激、細菌感染、寒冷、乾燥などの影響を受けることもあり、容易に湿疹・皮膚炎を起こしてしまいます。

乳幼児期の湿疹・皮膚炎について

乳児の皮膚トラブルは様々で;

  • 脂漏性皮膚炎
  • おむつ皮膚炎
  • 接触性皮膚炎
  • 汗疹(あせも)
  • 皮脂欠乏性湿疹(いわゆる乾燥肌)

など、様々です。

「この子は、アトピーでしょうか?」

と保護者の方が心配されて質問さることが多々あります。
しかし、乳児期はそもそも皮膚トラブルが多いため、

  • アトピー性皮膚炎がベースにあって湿疹が出た
  • 乳児期の皮膚トラブルから湿疹になった

これのどちらが原因か、ぱっと見て区別するのは非常に難しいのです。

■ 『アトピー性皮膚炎』の診断は焦らないで

アトピー性皮膚炎と単なる湿疹の区別が困難であるのに、湿疹をみて
「これはアトピーですね」
と断言するのは難しいでしょう。
むしろ、アトピー性皮膚炎の診断は、生後数年程度の経過を慎重にみて下したほうが良いと感じます。

アトピー性皮膚炎」の診断は急ぐ必要はありません。
なぜなら、乳児湿疹も、アトピー性皮膚炎も基本的には治療方針は全く変わりません。
乳児湿疹もアトピーも、食事の除去や制限は不要ですので、焦って自己判断で食事制限をしないようにしましょう。

 脂漏性性皮膚炎の特徴

生後数ヶ月で一番多い皮膚トラブルは脂漏性湿疹でしょう。
脂漏性湿疹は、生後2〜8週の皮脂分泌が活発な時期に発症することが多いです。
この時期は、母親からもらっていた女性ホルモンの効果が減弱し、男性ホルモンが優勢となり、思春期男児のようにニキビができます。

皮脂の出やすい場所は、頭・顔・うなじ・首回りです。
皮脂の分泌は1〜2ヶ月程度で落ち着いてくるので、自然と軽快する子が多いでしょう。

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乳児期に診断されるアトピー性皮膚炎について

乳児期に診断されるようなアトピー性皮膚炎は、全身に湿疹が出ています。
湿疹の出やすい場所は:

  • 顔(特に頬から耳)
  • 体幹
  • 四肢(伸側)

です。
アトピー性皮膚炎の場合、痒みが非常に強く、搔き壊した箇所が多数あるでしょう。

■ アトピー性皮膚炎と他のアレルギー疾患について

アトピー性皮膚炎の診断が正しい場合、他のアレルギー疾患を合併する可能性があります。例えば;

を合併するリスクが高まります。

ですが、アレルギー疾患に対する過剰な心配も禁物です。
例えば、食物アレルギーと診断するには、実際に食物を摂取してアレルギー反応が出るまでわかりません。
アレルギー性鼻炎(花粉症)の診断や気管支喘息の診断も、基本的には3歳以降に行います。
これらのアレルギー疾患は、血液検査のみではできませんのが原則です。
診断を急ぐあまり、過剰な検査をしないほうがよいでしょう。

脂漏性皮膚炎アトピー性皮膚炎の見分け方

脂漏性皮膚炎アトピー性皮膚炎は見分けることができます。
頭皮、顔面、首など皮脂のでやすい部位に限局していれば、脂漏性皮膚炎の可能性が高いでしょう。
また、脂漏性皮膚炎の場合、皮脂が皮膚の表面に固まってみえるのがほとんどです。

アトピー性皮膚炎の場合は;

  • 耳切れがある
  • 家族内でアレルギー素因がある
    (アトピー、食物アレルギー、花粉症、喘息)

場合が多いです。
この項目に当てはまる点が多いと、アトピー性皮膚炎の可能性は高いといえるでしょう。

新生児・乳児のスキンケア

乳幼児のスキンケアの基本は2点でして;

  1. 皮膚の清潔
  2. 皮膚の十分な保湿

です。

■ 皮膚の清潔について

赤ちゃんの皮膚を清潔に保つため、入浴は毎日して、ボディー・ソープなどでしっかりと洗ってあげましょう。
湿疹のある部位も、やさしく泡で洗ってあげましょう。

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■ 皮膚の保湿も忘れないで

肌は乾燥しやすいため、保湿剤でしっかりと保湿しましょう。
医療機関からの処方ですとヒルドイド・ビーソフテンが代表的です。
夏場はローションタイプ、冬場は軟膏タイプを使用するのが一般的です。

ヒルドイドの類似品は、市販薬ではこちらになります:

【第2類医薬品】HPローション 50mL

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 資生堂の「2e」も評価が高いです。
こちらの商品のシリーズは、国立成育医療センターでの臨床研究でも使用されていたようです。