麻疹

密集した島での大規模な流行中の麻疹の伝播とワクチンの効果:ワクチン接種方針への示唆

麻疹は、高度な感染性を持つウイルスによって引き起こされる疾患であり、効果的なワクチンが導入されているにもかかわらず、世界中でアウトブレークが報告されています。

マーシャル諸島共和国(RMI)は、2003年に1回の麻疹・風疹・おたふく風邪(MMR)ワクチンの接種率が80%-93%であったにもかかわらず、十年以上にわたる最大の麻疹の流行を経験しました。

この流行の背景となったワクチンの効果と疾病の伝播のパターンを解明するために、Mona Marin氏らはRMIの家庭での麻疹の発症率に関する調査を行いました。彼らの研究は、ワクチン接種の方針を再評価し、特に密集した地域での麻疹の流行を防ぐための取り組みの重要性を浮き彫りにしています。

 
参考文献

Marin M, Nguyen HQ, Langidrik JR, Edwards R, Briand K, Papania MJ, Seward JF, LeBaron CW. Measles transmission and vaccine effectiveness during a large outbreak on a densely populated island: implications for vaccination policy. Clin Infect Dis. 2006 Feb 1;42(3):315-9. doi: 10.1086/498902. Epub 2005 Dec 15. PMID: 16392073.

密集した島での大規模な流行中の麻疹の伝播とワクチンの効果:ワクチン接種方針への示唆

研究の背景/目的

マーシャル諸島共和国(RMI)は、アメリカ合衆国と自由に関連する南太平洋の国です。

2003年、RMIは、1回の麻疹・風疹・おたふく風邪(MMR)ワクチンの報告カバレッジが80%-93%であったにもかかわらず、アメリカ合衆国やその関連地域で10年以上にわたる最大の麻疹の流行を経験しました。

この流行は、51,000人の人口の中で>35,000人の人々がワクチンを接種した後でのみ終息しました。

流行症例の41%は、以前にワクチン接種されたと報告されました。我々は、ワクチンの効果と疾患の伝播のパターンを評価するために、RMIの家庭での麻疹の発症率を調査しました。

研究の方法

家庭での二次発症率の研究では、流行麻疹症例の便宜的なサンプリングによって家庭が選ばれました。一次症例は、家庭での最初の麻疹の人として定義されました。

二次症例は、一次症例の発疹の発症から7-18日後に麻疹の発症を持つ家庭のメンバーでした。ワクチンの効果分析は、6ヶ月から14歳までの子供に限定され、ワクチン接種の状況は書面による記録に基づいて確認されました。

研究の結果

 研究には72の家庭が含まれていました。家庭の平均サイズは11人で、部屋あたりの平均人数は5.5人でした。二次症例は、一次症例よりも乳児である可能性が高かった(46%対13%; P=.03)。

MMRワクチンの効果は、1回の接種で92%(95%信頼区間[CI]、67%-98%)、2回の接種で95%(95%CI、82%-98%)でした。

結論

麻疹ワクチンの効果は高かったため、効果の低下が流行の主な原因ではありませんでした。

人口密度が高く、家庭が混雑しているコミュニティでは、非常に高い集団免疫が必要です。これには、2回の麻疹ワクチン接種戦略の優れた実施が必要かもしれません。

考察と感想

マーシャル諸島共和国(RMI)、アメリカと密接に関連する南太平洋の国では、1982年に麻疹ワクチンの接種を開始しました。1998年には2回の接種スケジュールへの変更があったものの、完全には実施されていませんでした。2003年にはRMIで大規模な麻疹の流行があり、このことからワクチンの効果に関する懸念が浮上しました。特に、熱帯の条件下でワクチンの効果が失われる可能性が指摘されました。麻疹ワクチンの有効性は85%-95%とされていますが、高い人口密度の条件下では、1回のワクチン接種だけでは麻疹の流行を防ぐのに十分でないことが示唆されています。RMIでは、家庭内での麻疹の発症率と疾患の伝播のパターンを評価するための調査が行われました。

マーシャル諸島共和国(RMI)の密集した島で2003年に大規模な麻疹の流行が発生しました。この流行の間、麻疹ワクチンは1回の接種で麻疹のリスクを92%減少させるという高い効果を示しましたが、それにも関わらず、症例の3割以上でワクチンの効果が見られませんでした。マジュロのコミュニティの密集した環境は麻疹ウイルスの伝播を促進し、特に乳児が高いリスクにさらされました。研究の結果、このようなコミュニティでは、ワクチンの2回接種の方針を強化し、乳児を保護するための努力が必要であることが示唆されています。

Dr. KIDの執筆した書籍・Note

絵本:めからはいりやすいウイルスのはなし

知っておきたいウイルスと体のこと:
目から入りやすいウイルス(アデノウイルス)が体に入ると何が起きるのでしょう。
ウイルスと、ウイルスとたたかう体の様子をやさしく解説。

感染症にかかるとどうなるのか、そしてどうやって治すことができるのか、
わかりやすいストーリーと絵で展開します。

絵本:はなからはいりやすいウイルスのはなし

こちらの絵本では、鼻かぜについて、わかりやすいストーリーと絵で展開します。

絵本:くちからはいりやすいウイルスのはなし

こちらの絵本では、 胃腸炎について、自然経過、ホームケア、感染予防について解説した絵本です。

医学書:小児のかぜ薬のエビデンス

小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:

小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。

医学書:小児の抗菌薬のエビデンス

こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。

日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。

created by Rinker
¥3,850
(2024/07/15 22:29:52時点 Amazon調べ-詳細)

Dr.KID
Dr.KID
各章のはじめに4コマ漫画がありますよー!

noteもやっています

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

 

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

保護者からのよくある質問に科学的根拠で答える

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。