科学的根拠のある子育て・育児

小学生において、テレビの視聴時間とメラトニン産生は関連する?[イタリア編]

スクリーンタイム(テレビなどの画面の視聴時間)について、18〜24ヶ月未満の乳幼児は、基本的に設けないことが推奨されています。なた、2〜5歳に関しては、1時間未満が良いとされています。

この理由の1つとして、小児の睡眠不足があります。

テレビの光への暴露は、睡眠の開始、持続時間、質に悪影響を及ぼす可能性があるといわれています。

この理由として、睡眠に関連するホルモンとして知られているメラトニンが挙げられます。テレビを制限なく視聴していると、メラトニンの産生は妨げられるのでしょうか?

ポイント

  • 6〜13歳において、テレビの視聴がメラトニン産生に与える影響を推定
  • 年齢が低いほど、テレビの視聴によってメラトニンの産生量が減少し、尿中メラトニン量が減少する傾向
マミー
マミー
スクリーンタイムってどうなのでしょうか?

Dr.KID
Dr.KID
過去の文献をみてみましょう。

スクリーンタイムは、米国小児科学会は2016年の改訂で、2歳未満は0時間(みせないこと)、2〜5歳は1時間までを推奨しています。テレビなどを観る際も、保護者と一緒にみることを推奨しています。

オーストラリアも似たような方針を出しています。

 研究の概要

背景・目的:

磁場の変化は、夜間の尿中メラトニン排泄の低下と関連すると言われている。

テレビ画面は極低周波の電磁波・光を発し、これらへの曝露は小児の24時間尿中メラトニンの減少と関連している可能性がある。

方法:

イタリアのカヴリーリア(Cavriglia)の学校で行われた観察研究です。

6歳〜13歳までの42人の男子と32人の女子を対象に、1週間テレビを見た後と1週間テレビを見ないようにした後の24時間尿中メラトニンが測定された。

Dr.KID
Dr.KID
同じ人を曝露あり/なしの両方を経験させる研究を、クロスオーバーデザインといいます。

結果:

性別および年齢によって、テレビスクリーンへの曝露は、尿中メラトニン濃度の低下と関連していた。

メラトニンの時間構造の重要な変化が生じる思春期の特に若い子供に影響した。

結論:

更なる研究は、テレビ視聴に関連した活動性低下または他の生活習慣の変化とは全く別に、スクリーン曝露の有害作用としてメラトニン減少との関連性を更に研究する必要がある。これは、神経ホルモンの観点からも、肥満に対するテレビスクリーンへの曝露からの有害作用という点からも重要である。

考察と感想

この論文では、結構、色々と解析されていましたが、多くは、あまり好ましくない方法で行われていました。例えば、睡眠の問題が生じた人において、テレビ曝露とメラトニンの濃度の関連を見た検定もしてますが、これは完全にcollider stratification biasを生じてしまう解析と思いました。

因果の時制を考えれば当たり前ですが、テレビ曝露→メラトニン濃度→睡眠の問題です。最後の変数で層別化すると、バイアスを招いてしまいますね。この辺り、研究のデザインはよかったのですが、解析でミスリードしてしまっていると思います。

参考にできそうなのは以下の図でした。


(図は論文より拝借)

低年齢ほど、日中に特に制限なくテレビを見ていると、メラトニンが減少する傾向にあったようです。9−10歳を越えるとこの傾向は逆転していますが、ここは少し微妙な印象です。

Dr.KID
Dr.KID
欲をいえば、ここは直線的な関係ではなく、スプラインモデルなどで曲線にするか、piece-wiseにするか、解析を工夫された方が良かったでしょうね。

まとめ

6〜13歳において、テレビの視聴がメラトニン産生に与える影響を推定しています。

この集団では、年齢が低いほど、テレビの視聴によってメラトニンの産生量が減少し、尿中メラトニン量が減少する傾向にあったようです。

これより低い年齢に関しては、同傾向があるのか、さらにこれが睡眠障害とどのように関連しているのか、さらなる研究は必要でしょう。

 

睡眠といえば、河合真先生↓↓

created by Rinker
¥5,280
(2020/09/19 21:06:13時点 Amazon調べ-詳細)

Dr. KIDが執筆した医学書:

小児のかぜ薬のエビデンス

小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:

小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。

 

小児の抗菌薬のエビデンス

こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。

日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。

created by Rinker
¥3,850
(2020/09/20 06:03:31時点 Amazon調べ-詳細)

 

Noteもやっています

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

 

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

保護者からのよくある質問に科学的根拠で答える

 

 

当ブログの注意点について

Dr.KID
Dr.KID
当ブログは医療関係者・保護者の方々に、科学的根拠に基づいた医療情報をお届けするのをメインに行なっています。参考にする、勉強会の題材にするなど、個人的な利用や、閉ざされた環境で使用される分には構いません。

Dr.KID
Dr.KID
一方で、当ブログ記事を題材にして、運営者は寄稿を行なったり書籍の執筆をしています。このため運営者の許可なく、ブログ記事の盗用、剽窃、不適切な引用をしてメディア向けの資料(動画を含む)として使用したり、寄稿をしないようお願いします。

Dr.KID
Dr.KID
ブログの記載やアイデアを公的に利用されたい場合、お問い合わせ欄から運営者への連絡お願いします。ご協力よろしくお願いします。

 

ABOUT ME
Dr-KID
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。
RELATED POST