賢明な医療の選択

リウマチ性疾患を評価するために、小児に対してリウマトイド因子を単独でオーダーしない[Choosing wisely]

今回は、小児のリウマチ性疾患を評価するためのリウマトイド因子に関してです。

この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。

ユーキ先生
ユーキ先生
小児のリウマチ性疾患を評価するためのリウマトイド因子に関して、教えてください

Dr.KID
Dr.KID
Choosing wiselyを見てみましょう。

ポイント

  •  Choosing wisely:小児のリウマチ性疾患を評価するためのリウマトイド因子
  •  あくまで臨床所見が重要であり、RFを単独でオーダーして診断しない

American Academy of PediatricsからのChoosing Wisely

リウマチ性疾患を評価するために、小児に対してリウマトイド因子を単独でオーダーしない[Choosing wisely]

Do not order rheumatoid factor (RF) alone, or as part of a “panel” or “cascade” in children to evaluate for rheumatologic disease such as juvenile idiopathic arthritis (JIA) due to musculoskeletal complaints. Do not let laboratory results guide referral.

JIA is a clinical diagnosis, and laboratory studies are used to prognosticate severity. Only 10-30% of children with JIA have a positive RF compared to the majority of adults with rheumatoid arthritis. The relevance of other antibodies such as anti-cyclic citrullinated peptide (anti-CCP) has not been established in the pediatric population. Additionally, RF is nonspecific and can be positive in other diseases, infections, or healthy individuals, and these labs are typically expensive. Patients may still have JIA despite a negative RF, and a positive test with no clinical disease causes significant parental anxiety and may result in additional unnecessary testing.

若年性特発性関節炎(JIA)のような筋骨格系の疾患に起因するリウマチ性疾患を評価するために、小児に対してリウマトイド因子(RF)を単独で、あるいは「パネル」や「カスケード」の一部としてオーダーしてはいけません。検査結果を参考にしてはいけません。

JIA は臨床診断であり、臨床検査は重症度を予測するために用いられる。成人の関節リウマチ患者の大部分と比較して、JIA の子供のわずか 10-30%が RF 陽性である。

抗環状シトルリンペプチド(抗CCP)のような他の抗体の関連性は、小児集団では確立されていません。さらに、RFは非特異的で、他の疾患や感染症、健康な人でも陽性になる可能性があり、これらの検査は一般的に高価です。

患者はRFが陰性であってもJIAを発症している可能性があり、臨床疾患がないのに検査が陽性の場合、親は大きな不安を感じ、さらに不必要な検査を行うことになるかもしれません。

考察と感想

小児のリウマチ性疾患を評価するためのリウマトイド因子に関してでした。

JIAにおいてRF陽性になる例は一部であり、除外診断にはならないでしょうし、仮に陽性であったとしても偽陽性のリスクがあるでしょう。

参考文献も読んでみようと思います:

Groot N, Heijstek M, Wulffraat N. Agarwal M, Sawhney S. Laboratory tests in pediatric rheumatology. Indian J Pediatr 2010;77(9):1011–6.

Dalrymple A. Laboratory evaluation in pediatric autoimmune disease. Pediatr Rev 2015;36(11):496.

Ingegnoli F, Castelli R, Gualtierotti R. Rheumatoid Factors: Clinical Applications. Hindawi 2013;35(6):727–34.

Smolen, Josef S, Aletaha, Daniel, McInnes, Iain B. Rheumatoid arthritis. The Lancet 2016;338(10055):2023-2038.

Wong, Kai O. Bond, Kenneth Homik, Joanne Ellsworth, Janet E. Karkhaneh, Mohammad Ha, Christine Dryden DM. Antinuclear Antibody, Rheumatoid Factor, and Cyclic-Citrullinated Peptide Tests for Evaluating Musculoskeletal Complaints in Children. 2012.

まとめ

今回は、小児のリウマチ性疾患を評価するためのリウマトイド因子に関するchoosing wiselyをご紹介しました。

これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。

 

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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。