抗インフルエンザ薬

小児のインフルエンザとザナミビル(リレンザ®︎)・ラニナミビル(イナビル®︎)

  •  小児のインフルエンザの吸入薬って有効なのか?
  •  ザナミビル(リレンザ®︎)やラニナミビル(イナビル®︎)のエビデンスはあるのか?

外来で使用される小児の抗インフルエンザ薬は主に複数ありますが、吸入薬としてはザナミビル(リレンザ®︎)やラニナミビル(イナビル®︎)があります。

今回はこの2つの薬が、小児のインフルエンザにどのくらい有効であったのかを検討したシステマティックレビューとメタ解析をご紹介します。

マミー
マミー
吸入薬って本当に効くのですか?

Dr.KID
Dr.KID
過去に行われた研究結果をみながら解説していきましょう。

小児のインフルエンザとザナミビル(リレンザ®︎

(↑図表は論文より拝借)

小児のインフルエンザにおいて、ザナミビル(リレンザ®︎)の有効性も評価しています1,2。こちらの結果によると、ザナミビルは発熱期間を平均して1日ほど短くさせる可能性がありますが、95%信頼区間はやや広く不正確な推定です[-1.08日; 95%CI, -2.32 to 0.15]。ザナミビルは肺炎、気管支炎、副鼻腔炎のリスクを減らす可能性はありますが、データが不十分で不正確な推定です。急性中耳炎の予防効果はなさそうな印象です。入院率の頻度は残念ながら報告されていませんでした。

マミー
マミー
リレンザ®︎も発熱期間を短縮するのですね。

Dr.KID
Dr.KID
タミフル®︎は中耳炎の予防効果もありますので、微妙な違いはあります。

外来患者における小児のインフルエンザとラニナミビル(イナビル®︎)

日本の小児を対象に行われた二重盲検化RCTがあり、ラニナミビル40 mg vs. 20 mg vs. オセルタミビルを比較した研究があります3。こちらの研究結果によると、ラニナミビルを使用したグループのほうが、インフルエンザ症状の持続期間の中央値は31時間ほど短い傾向にありました(55.4 h vs. 56.4 h vs.  87.3 h)。
特にH1N1に感染した患者では、ラニナミビルのほうが60時間以上短い傾向にありました(49.6 h vs. 44.3h vs. 110.5h)。

発熱期間の中央値に関しては、全ての参加者で比較すると38.1h vs. 33.5h vs. 40.9hとほぼ同等の結果でしたが、H1N1に感染した患者のみを対象にするとラニナミビルを使用したグループのほうが18〜26時間ほど短い傾向にありました。

確かにこの結果をみるとラニナミビルは少なくともオセルタミビルと同等かそれ以上の結果があるようにみえますが、この研究の懸念点もあります。ランダム化はされているのですが、ワクチン接種率が3つのグループで大きくことなります(55.7% vs. 49.2% vs. 35.5%)。ワクチン接種率の低いオセルタミビル郡は治療前からやや不利な条件であったことが予測されます。

Dr.KID
Dr.KID
有効性を頭から否定するつもりはないですが、サブグループに分けた解析結果をだしてもよかったのではと思っています。

治療グループ間で「統計学的な有意差」がなくても、この20%の開きは大きいと思いますが「ワクチン接種あり/なし」のサブグループ解析はされていません(*注:近年の疫学では、グループ間で統計学的な有意差がある/なしで、交絡のある/なしと判断すべきでないと考えられています4)。

Dr.KID
Dr.KID
Table 1のP値は出さない雑誌も増えてきています。

ラニナミビルとオセルタミビルの有効性は同等であったとする研究結果もあります。成人を対象にラニナミビルとオセルタミビルを比較したRCTも2つありますが5,6、インフルエンザ症状の持続時間はどちらの治療もほとんど同じでした。

一方で、アメリカで行われた第二相臨床試験では、ラニナミビル40 mg vs. 80 mg vs. プラセボの3つで二重盲検化RCTが行われましたが、インフルエンザ症状の改善効果は認められませんでした7。意外とこの結果を知らない臨床医が多いと私は思っています。

Dr.KID
Dr.KID
追加検証が必要な薬剤だと私は思っています。

 

まとめ

小児の抗インフルエンザ薬ですが、吸入薬の有効性の検証は不十分で、強い科学的根拠はありません。

ラニナミビル(イナビル®︎)の有効性を頭ごなし否定するつもりはありませんが、過去の研究に疑問点も残っていますし、ラニナミビルに関してはアメリカの第二相試験で有効性を示唆することに失敗しています。

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参考文献

  1. Jefferson T, Jones MA, Doshi P, et al. Neuraminidase inhibitors for preventing and treating influenza in healthy adults and children. Cochrane database Syst Rev. 2014;(4):CD008965. doi:10.1002/14651858.CD008965.pub4
  2. Heneghan CJ, Onakpoya I, Thompson M, Spencer EA, Jones M, Jefferson T. Zanamivir for influenza in adults and children: Systematic review of clinical study reports and summary of regulatory comments. BMJ. 2014;348(April):1-16. doi:10.1136/bmj.g2547
  3. Sugaya N, Ohashi Y. Long-acting neuraminidase inhibitor laninamivir octanoate (CS-8958) versus oseltamivir as treatment for children with influenza virus infection. Antimicrob Agents Chemother. 2010;54(6):2575-2582. doi:10.1128/AAC.01755-09
  4. Rothman K, Greenland S, Lash T. Modern Epidemiology, 3rd Edition. Lippincott Williams & Wilkins.; 2012. doi:8184731124
  5. Watanabe A, Chang S, Kim MJ, Chu DW, Ohashi Y. Long‐Acting Neuraminidase Inhibitor Laninamivir Octanoate versus Oseltamivir for Treatment of Influenza: A Double‐Blind, Randomized, Noninferiority Clinical Trial. Clin Infect Dis. 2010;51(10):1167-1175. doi:10.1086/656802
  6. Watanabe A. A randomized double-blind controlled study of laninamivir compared with oseltamivir for the treatment of influenza in patients with chronic respiratory diseases. J Infect Chemother. 2013;19(1):89-97. doi:10.1007/s10156-012-0460-1
  7.  Aviragen Therapeutics. Biota Reports Top-Line Data From Its Phase 2 “IGLOO” Trial of Laninamivir Octanoate. 2014

 

ABOUT ME
Dr-KID
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このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。