抗菌薬

マイコプラズマに対するテトラサイクリンやキノロンの考察

日本にはマクロライド耐性のマイコプラズマが多く、おそらく日本の外来でマクロライドが多用されてきたのも一因でしょう。

日本の小児のマイコプラズマ感染は9割が耐性菌!?【マイコプラズマ肺炎】前回、こちらの記事で、風邪に抗生剤を処方する医師の傾向を説明してきました。 https://www.dr-kid.net/amr-ou...

このため、難治性の症例や入院症例では、マクロライド以外の抗菌薬が必要となることが考えられます。例えば、テトラサイクリンやキノロンが候補となります。

過去の報告を参考に、マイコプラズマ肺炎に対して、テトラサイクリンやキノロンの有効性を検討した硏究があるのでご紹介します1

マミー
マミー
テトラサイクリンやキノロン系の抗菌薬って具体的に何ですか?

Dr.KID
Dr.KID
小児でよく使用されるテトラサイクリンはミノマイシン®︎、キノロンはトスフロキサシン®︎が該当します

テトラサイクリンやキノロンの有効性について

 

こちらは日本から発表された報告1(上の図)になりますが、マクロライド耐性マイコプラズマにおいて、マクロライドを使用したグループより、テトラサイクリン系抗菌薬やトスフロキサシンを使用したグループのほうが早く解熱しています。

日本から発表された別の観察研究になりますが(上の表)、マクロライド耐性マイコプラズマにおいて異なる抗菌薬で、マイコプラズマ48時間後の解熱、発熱期間、抗菌薬の変更の必要性を検討したものがあります2。結果として、トスフロキサシンやミノサイクリンのほうが早く解熱し、抗菌薬変更の必要性がありませんでした。

テトラサイクリンの副作用について

上述の通り、キノロンやテトラサイクリンはマクロライド耐性マイコプラズマに有効ですが、副作用についても留意しておく必要があります。例えば、8歳未満の小児において、テトラサイクリン系抗菌薬は歯牙黄染などのリスクがあり、原則として使用禁忌となっています。

マミー
マミー
どうして8歳未満は使用禁忌なのですか?

Dr.KID
Dr.KID
歯牙黄染になることがあるからです。

テトラサイクリン系抗菌薬が8歳未満で禁忌とされる理由に歯牙黄染のリスク上昇があげられます3。歯牙黄染のリスクは、テトラサイクリンでは3%〜4%3、ミノサイクリンでは3%〜6%4と推定されています。

一方で、ドキシサイクリンは歯牙黄染が起こりづらいという報告も複数あります。2016年に行われたシステマティック・レビューによると、テトラサイクリンと比較してドキシサイクリンは歯牙黄染のリスクは72%ほど低かった(Risk difference; 95%CI, 67%〜78%)と推定されています5。別の研究では、8歳未満の小児でドキシサイクリンを2〜28日間投与された38人において、歯牙黄染を認めた症例はいなかったと報告されています6

Dr.KID
Dr.KID
以下の記事で紹介してます。

【小児の歯】テトラサイクリンは本当に8歳未満で使用してはいけないのか?【歯牙黄染】先日、NS先生のツイートで知りました。  最近, 米国小児科学会では全年齢に対してテトラサイクリン系抗菌薬であるドキシサイクリンの...

 

まとめ

テトラサイクリンやキノロン系の抗菌薬はマクロライド耐性のマイコプラズマには有効性があります。一方で、これ以上の耐性菌を蔓延させないためにも、これらの薬の使用は慎重であるべきと考えています。

一方で、テトラサイクリンには歯牙黄染などの副作用があるため、8歳未満には使用すべきでないと考えられています。

 

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参考文献

  1. Okada T, Morozumi M, Tajima T, et al. Rapid effectiveness of minocycline or doxycycline against macrolide-resistant Mycoplasma pneumoniae infection in a 2011 outbreak among Japanese children. Clin Infect Dis. 2012;55(12):1642-1649. doi:10.1093/cid/cis784
  2. Kawai Y, Miyashita N, Kubo M, et al. Therapeutic efficacy of macrolides, minocycline, and tosufloxacin against macrolide-resistant Mycoplasma pneumoniae pneumonia in pediatric patients.Antimicrob Agents Chemother. 2013;57(5):2252-2258. doi:10.1128/AAC.00048-13
  3. Sánchez AR, Rogers RS, Sheridan PJ. Tetracycline and other tetracycline-derivative staining of the teeth and oral cavity. Int J Dermatol. 2004;43(10):709-715. doi:10.1111/j.1365-4632.2004.02108.x
  4. Berger RS, Mandel EB, Hayes TJ, Grimwood RR. Minocycline staining of the oral cavity. J Am Acad Dermatol. 1989;21(6):1300-1301. doi:10.1016/S0190-9622(89)80309-3
  5. Cross R, Ling C, Day NPJ, McGready R, Paris DH. Revisiting doxycycline in pregnancy and early childhood – time to rebuild its reputation? Expert Opin Drug Saf. 2016;15(3):367-382. doi:10.1517/14740338.2016.1133584
  6. Pöyhönen H, Nurmi M, Peltola V, Alaluusua S, Ruuskanen O, Lähdesmäki T. Dental staining after doxycycline use in children. J Antimicrob Chemother. 2017;72(10):2887-2890. doi:10.1093/jac/dkx245
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Dr-KID
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このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。