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乳幼児にインフルエンザワクチンは有効か?[バングラディッシュ編]

冬の季節になると「乳幼児にインフルエンザワクチンは効くのですか?」と質問されることがあります。また、中には「小さいお子さんにはワクチン効かないから打たなくて良い」とまで指導する医師がおり、少し頭を悩ませています。

乳幼児にインフルエンザワクチンは有効性はありますし、感染予防だけでなく重症化の予防も目的にしています。今回は、有効性が示唆された論文があるので、そちらを確認していきましょう。

先にポイントだけ載せてしまいます。

乳幼児のインフルエンザワクチンのポイント

  •  6〜11ヶ月でも、インフルエンザワクチンは有効
  •  有効性(VE)は30%ほどと、成人より低め
  •  2回接種することで、VEは45%くらいまで上昇
マミー
マミー
乳児にインフルエンザワクチンはいらないって本当ですか?

Dr.KID
Dr.KID
そんなことはありません。有効性を示唆した論文はいくつかありますので、確認してみましょう。

 

こちらの論文は、ほむほむ先生(@ped_allergy)から勉強させていただきました。

研究の方法

今回の研究は、2010年8月〜2014年3月にバングラディッシュのダコタで行われたRCTです。

対象となったのは、

  •    6〜23ヶ月の乳幼児
  •   基礎疾患なし

などが該当しています。

治療について

治療は、

  •  インフルエンザワクチン(Inactivated influenza vaccine)
  •  不活化ポリオワクチン(IPV)

のいずれかをランダムに投与して、その後1年間発熱・呼吸器疾患を追跡しています。

アウトカムについて

アウトカムに関しては、

  •   インフルエンザ(PCRで確定)

を見ています。

この研究ではperson-time法を使用しており、VE (=vaccine efficacy)は(1 – rate ratio) x 100%で推定しています。

Dr.KID
Dr.KID
今回はサンプル数がかなり大きいです。

研究結果と考察

最終的に4081人が参加し、5169 person-yearsの追跡をしています。

  •  インフエンザワクチン:2576 person-years
  •  ポリオワクチン:2593 person-years

となります。

1歳未満は全体の3割、男女比はほぼ1:1でした。

全体の有効性

ワクチン インフル ポリオ
インフル+ 200 209
PYs 2009 2034
IR 9.95/100 PY 14.45/100 PY
IRD – 4.5/100PY
IRR 0.69 [0.57–0.83]
VE 31% [18–42%]

全年齢での有効性を評価したものはこちらになります。

インフルエンザワクチンを使用したグループの方が、インフルエンザに罹患する率(rate)が30%ほど低下しているのが分かります。

 12ヶ月未満について

「6〜12ヶ月はインフルエンザワクチンが効かない」とまでいう小児科医が時々いますが、実際のところ結果はどうでしょうか。

ワクチン インフル ポリオ
インフル+ 57 87
PYs 648 664
IR 8.8/100 PY 13.1/100 PY
IRD – 4.3/100PY
IRR 0.67 [0.48–0.93]
VE 33% [6.8–51.9%]

年齢で層別化した解析をしていますが、6〜12ヶ月の乳児でもワクチンの有効性は示唆されています。この研究全体の結果と変わらないですね。

 2回接種した場合

2回接種した場合の方が、ワクチンの有効性は高く推定されています。

  •  VE, 44.1% [27.1%, 57.1%]

初めてインフルエンザワクチンを接種する小児より、2回目以降の小児の方が有効性は高そうです:

  •  初回:VE, 26.1% [9.2, 39.8]
  •  2回目:VE, 45.0% [20.1, 62.2]

 感想と考察

今回の研究ですと、年齢によってワクチン効果はそれほど変わらない印象ですね。

考察と感想

「乳幼児にはインフルエンザワクチンの効果はないから、接種すべきでない」と指導する医師(小児科医含む)がいるのは事実です。ですが、古いデータに基づいており、これは正確ではありません。

今回の研究でも、インフルエンザワクチンの効果は6−11ヶ月児でも認めています。

一方で、ワクチンの有効性自体は、やや低めの結果です。およそインフルエンザワクチンの有効性は70%ほどと言われていますが、今回はそれより低い値です。

乳幼児はインフルエンザに罹患した場合、熱性けいれんを起こしたり、重症化して入院が必要になるケースもあります。そういった背景も考慮して、ワクチン接種すべきか判断する必要があります。

Dr.KID
Dr.KID
WHOなど様々な団体は生後6ヶ月からのインフルエンザワクチンを推奨しています。

まとめ

今回の研究では、6-11ヶ月でもインフルエンザワクチンの有効性を認めていました。

2回接種していた方が有効性は強く出ており、確実に接種しておきたいところです。

マミー
マミー
乳幼児のみインフルエンザワクチンは効きそうなのですね?

Dr.KID
Dr.KID
成人ほどではありませんが、有効性は示唆された研究です。

まとめ

乳幼児においてインフルエンザワクチンは…

  •  有効性は6〜24ヶ月でも示唆されている
  •  2回接種は確実にしておきたい
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ABOUT ME
Dr-KID
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。
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