賢明な医療の選択

疑わしい病歴の健康な小児に対して、スポーツ参加前のスクリーニングとして心電図をルーチン検査しない[Choosing wisely]

今回は、小児のスポーツ参加前の心電図に関してです。

この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。

ユーキ先生
ユーキ先生
小児のスポーツ参加前の心電図に関して、教えてください

Dr.KID
Dr.KID
Choosing wiselyを見てみましょう。

ポイント

  •  Choosing wisely:小児のスポーツ参加前の心電図
  •  ルーチンでは行わない

American Academy of PediatricsからのChoosing Wisely

疑わしい病歴の健康な小児に対して、スポーツ参加前のスクリーニングとして心電図をルーチン検査しない[Choosing wisely]

Do not routinely order a screening ECG as part of a sports preparticipation examination in asymptomatic, otherwise healthy patients with no personal or family history of cardiac disease.

Routine screening ECGs for preparticipation sports clearance are not currently recommended by the American Heart Association (AHA). Instead, it is recommended that the AHA’s 14-point screening guidelines, or the American Academy of Pediatrics’ “Preparticipation Physical Evaluation” be used in conjunction with a targeted personal history, family history, and thorough physical examination. The goal is to identify warning signs or signs that raise suspicion of cardiovascular diseases that place certain athletes at risk of sudden cardiac death. These individuals should be referred for further evaluation by a pediatric cardiologist who may order an ECG or an echocardiogram as part of the work-up.

Routine ECG screening of healthy pediatric patients with no personal or family history of cardiac disease has demonstrated a high false-positive rate and has not been found to reduce mortality from sudden cardiac death. In addition, it can also lead to unnecessary secondary evaluations. ECG screening should be performed in those patients with a strong family history of conditions likely to cause sudden cardiac arrest or death.

心疾患の個人歴や家族歴のない無症状の健康な患者に対して、スポーツ参加前の検査の一環としてスクリーニング的に心電図をルーチンに指示しない。

現在、アメリカ心臓協会(AHA)では、スポーツ参加前のクリアランスのための定期的なスクリーニング心電図は推奨していません。その代わりに、AHAの14項目のスクリーニングガイドライン、またはAmerican Academy of Pediatricsの「Preparticipation Physical Evaluation」を、対象となる個人歴、家族歴、および徹底的な身体検査と併せて使用することが推奨されています。

その目的は、特定のアスリートを心臓突然死のリスクにさらす心血管疾患を疑わせる警告のサインや兆候を特定することです。このような人は、小児心臓専門医による詳しい評価を受けるべきであり、その際には、検査の一環として心電図や心エコー図を指示することがあります。

心疾患の既往歴や家族歴のない健康な小児患者を対象とした定期的な心電図スクリーニングは、高い偽陽性率を示し、心臓突然死による死亡率を低下させる効果は認められていません。加えて、不必要な二次評価につながる可能性もあります。心電図スクリーニングは、突然の心停止や死亡を引き起こす可能性の高い疾患の強い家族歴を持つ患者に実施すべきである。

考察と感想

小児のスポーツ参加前の心電図に関してでした。

疑わしい病歴がなければ検査しないと言うのは、その通りと思います。いくつか例外があることも知っておいた方が良いでしょう。

日本だとスクリーニング的に心電図検査も行われていますが、そちらの効果はどうなのか、気になるところですね。

参考文献も読んでみようと思います:

Maron BJ, Levine BD, Washington RL, Baggish AL, Kovacs RJ, Maron MS; American Heart Association, Electrocardiography and Arrhythmias Committee of Council on Clinical Cardiology, Council on Cardiovascular Disease in Young, Council on Cardiovascular and Stroke Nursing, Council on Functional Genomics and Translational Biology; and American College of Cardiology. Eligibility and disqualification recommendations for competitive athletes with cardiovascular abnormalities: Task Force 2: preparticipation screening for cardiovascular disease in competitive athletes. Circulation. 2015;132(22):e267-e272

Maron BJ, Friedman RA, Kligfield P, et al; American Heart Association, Council on Clinical Cardiology, Advocacy Coordinating Committee, Council on Cardiovascular Disease in the Young, Council on Cardiovascular Surgery and Anesthesia, Council on Epidemiology and Prevention, Council on Functional Genomics and Translational Biology, Council on Quality of Care and Outcomes Research; and American College of Cardiology. Assessment of the 12-lead electrocardiogram as a screening test for detection of cardiovascular disease in healthy general populations of young people (12-25 years of age). J Am Coll Cardiol. 2014; 64(14):1479-1514

Schmehil C, Malhotra D, Patel DR. Cardiac screening to prevent sudden death in young athletes. Transl Pediatr. 2017;6(3):199–206

American Academy of Pediatrics. Preparticipation Physical Evaluation. 5th Edition. Bernhardt DT, Roberts WO, eds. Itasca, IL: American Academy of Pediatrics; 2019

まとめ

今回は、小児のスポーツ参加前の心電図に関するchoosing wiselyをご紹介しました。

これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。

 

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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。