今回は、アメリカから報告された、手洗いの胃腸炎予防効果を検証した研究をみていきましょう。
先にこの研究の結論とポイントから述べましょう。
- 保育所に手洗いやおむつ替え時の清潔を指導する介入効果を検証したアメリカの研究
- 下痢の発症率が30%ほど低下したようです。
手洗いが感染症の予防効果にどのくらいあるか検証した研究はたくさんあります。
研究の概要
胃腸炎の原因となる微生物は、保育園や幼稚園などで伝播することが多いです。
その理由として、小児の免疫が不十分、環境的に頻繁かつ親密な病原体への曝露がある、などがあげられます。
特に、保育所でのおむつ交換は最もリスクが高いと言われています。
方法
本研究の目的は、12か月間に保育所に通う小児において、手洗いに関する介入プログラムは、胃腸炎症状の発生率を低下させるか評価した。
保育所24施設を、介入群または対照群にランダムに割り付けた、クラスター・ランダム化比較試験が行われました。介入群は、以下の4つ指導を受けています:
- 手洗い教育プログラム
- ビニール手袋の使用
- 使い捨ておむつ交換パッドの使用
- 保育所スタッフの、アルコールベース手指消毒液の使用
結果
腸疾患の症状(下痢・嘔吐)は、介入群で低下したが、呼吸器感染症の症状(咳・鼻汁)は、2グループでの違いはほとんどなかった。
下痢は保育所に通う小児において100日に1回の割合で報告されており、典型的な保育所では毎月一回の下痢エピソードが生じていると換算された。
感想と考察
確かに保育所ですと、下痢を介した感染症も多く、おむつなどの取り扱いは重要ですよね。スタッフに手洗いを指導することで、胃腸炎のリスクが低下したようですね。
まとめ
今回は、アメリカの保育所を対象に行われた研究です。
手洗いに関する講習会を開いたグループのほうが、下痢の発症率が少ない傾向にありました。
Dr. KIDの書籍(医学書)
小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:
(2024/10/12 23:26:46時点 Amazon調べ-詳細)
小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。
新刊(医学書):小児の抗菌薬のエビデンス
こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。
日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。
Noteもやっています
当ブログの注意点について