科学的根拠

ヨーグルトは小児の持続する下痢に有効か? フランス編

小児科外来をしていると、時々、長引く下痢のお子さんがいます。
通常、ウイルス性胃腸炎の下痢ですと、1週間前後あれば下痢は軽快し、その後は徐々に便の形が元どおりになってきます。

しかし、中には2週間以上長引くお子さんが時にいます。原因としても様々ですが、主には胃腸炎によって腸の粘膜が荒れてしまい、吸収がうまくできずに下痢になってしまったり、乳糖分解酵素がなくなってしまい、二次性の乳糖不耐症になっていることがあります。

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ヨーグルトの方が乳糖が消化さレやすく、プロバイオティクスも含まれているため、小児の長引く下痢に有効である可能性があります。
そこで、今回の研究がされました。

研究の方法

今回の研究はフランスで行われたランダム化比較試験(オープン・ラベル)で、

  •  3~36ヶ月
  •  14日以上、29日未満の下痢
  •  慢性疾患なし
  •  血便なし
  •  抗菌薬の投与歴なし

のお子さんを対象に行われています。

治療は通常の食事に加えて

  •  ミルク
  •  ヨーグルト

をランダムに割り当てて与えています。ヨーグルトには、Strep. thermophilusとLact. bulgarisが入っています。

アウトカムは、

  •  治療の失敗率
  •  下痢の量
  •  経口摂取量

などをみています。

研究の結果と考察

最終的に52人の患者が参加し、45人が解析の対象となりました。内訳としては、ミルクが24人、ヨーグルトが21人です。

治療前の平均月齢は7ヶ月、体重や6.5kg、下痢の期間は20日でした。

アウトカムについて:治療の失敗

研究の結果を見ていきましょう。

  ミルク
n = 24
ヨーグルト
n = 21
下痢の期間 > 5日以上 8
(33%)
3
(14%)
体重が5%以上減少 2
(8%)
0
(0%)
臨床的な治療の失敗 10
(42%)
3
(14%)

治療としてヨーグルトまたはコントロールとしてのミルクを使用したため、その後の経過を見て治療がうまくいったか否かを判断しています。

ややサンプル数が少なく、不正確な結果ですが、ヨーグルトを使用したグループの方が治療を失敗するリスクは1/3ほど低くなっていそうです。

Risk ratioなどが計算されていないため、私の方で算出してみました。
治療失敗のリスクで荒れば、risk ratio = 2.91 (95%CI, 0.92–9.21)ですね。

臨床的なアウトカムについて

次に、下痢の量や体重の変化などをみていきましょう。

  ミルク
n = 24
ヨーグルト
n = 21
下痢の排出量 1000 853
経口補水量 1112 445
エネルギー摂取量 1850 1430
体重増加 1.2% 2.1%

データの解釈がやや難しいですね。

おそらくですが、ヨーグルトを使用したグループの方が下痢の量が少なかったので、余分に水分やエネルギー摂取をする必要がなく、体重増加が良好だったと解釈できそうです。

結果と考察

なかなか面白い結果でしたね。
ヨーグルトにこのような効果が計測されているとは知らなかったです。

確かにヨーグルトには豊富にプロバイオティクスが含まれています。これまでプロバイオティクスが小児の長引く下痢に有効である点も複数述べられているので、確かにヨーグルトで効果があってもおかしくはなさそうです。

研究の限界としては、オープンラベルの点でしょうか。
ミルクとヨーグルトは明らかに形状が違うので、盲検化は難しいですね。
ですが、小さなお子さんの水分やエネルギー摂取、体重増加などは意図的にどうこうしづらいと思いますので、その点のバイアスは緩和されているのかもしれないですね。

長引く下痢と聞くと、乳糖不耐症を連想して、ヨーグルトもストップさせたくなってしまいますが、必ずしもそうでもなさそうですね。
コントロールがミルクでなく、厳密な乳糖除去と比べてどうかも気になるところです。

まとめ

小児の長引く下痢にヨーグルトを食生活に追加したところ、下痢は止まりやすくなり、体重増加も良好でした。

 

 

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Dr-KID
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このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。