科学的根拠のある子育て・育児

小児の急性鼻副鼻腔炎の合併症が生じるタイミングは?

今回は鼻副鼻腔炎の合併症が生じるタイミングをみた研究です。

先にこの研究の結論とポイントから述べましょう。

ポイント

  •  急性副鼻腔炎の合併症の起こるタイミングの調査
  •  多くは5日以内に生じている
マミー
マミー
副鼻腔炎の合併症はいつごろ生じるのですか?

Dr.KID
Dr.KID
意外と早期に起こるという報告もあるようです…。

 この早期に起こる合併症の予防は難しいかもしれないですね。

 研究の概要

背景

10日以上続く風邪は、小児の急性鼻副鼻腔炎の前兆・症状と判断し、抗菌薬が使用されています。

この推奨理由の一つに、副鼻腔感染症の合併症の予防効果があげられますが、これを裏付けるエビデンスはなく、今回の研究を行いました。

方法

1996年2月から2006年3月までに合併症で治療を受けた鼻副鼻腔炎に関連する小児のすべての医療記録を遡及的に検討しています。

結果

20人に副鼻腔炎の合併症がありました。

急性上気道炎の症状は、合併症が出現するまでに平均5.1日持続していました。

呼吸器症状が10日以上持続していたのは、3名のみです。

結論

小児における鼻副鼻腔炎の合併症は、。急性上気道炎の最初の数日で起こるようです。

この所見は、呼吸器症状が10日以上続いてから、抗生物質を開始すべきであるという推奨とは異なります。

偶然、侵襲性のある眼窩周囲感染症を示唆する所見を有する患者に遭遇することもあります。この場合は、即時の抗菌治療を必要とする場合があり、ガイドラインの推奨を批判的にとらえる必要があります。

感想と考察

眼窩周囲の感染症が生じた場合は、副鼻腔炎の適応の有無とは関係なく、抗生剤の投与が必要でしょう。意外と早く起こるため、抗菌薬で予防は難しいかもしれないでしょうね。

まとめ

副鼻腔炎は症状の軽快には有効とする研究は複数ありますが、眼窩周囲蜂窩織炎など重篤な合併症の予防効果は難しそうですね。

かぜ症状が生じて、わりと早めに生じている印象です。

Dr. KIDの書籍(医学書)

小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:

小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。

 

新刊(医学書):小児の抗菌薬のエビデンス

こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。

日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。

created by Rinker
¥3,850
(2024/04/18 19:51:49時点 Amazon調べ-詳細)

 

Noteもやっています

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

 

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

保護者からのよくある質問に科学的根拠で答える

 

 

 

当ブログの注意点について

Dr.KID
Dr.KID
当ブログは医療関係者・保護者の方々に、科学的根拠に基づいた医療情報をお届けするのをメインに行なっています。参考にする、勉強会の題材にするなど、個人的な利用や、閉ざされた環境で使用される分には構いません。

Dr.KID
Dr.KID
一方で、当ブログ記事を題材にして、運営者は寄稿を行なったり書籍の執筆をしています。このため運営者の許可なく、ブログ記事の盗用、剽窃、不適切な引用をしてメディア向けの資料(動画を含む)として使用したり、寄稿をしないようお願いします。

Dr.KID
Dr.KID
ブログの記載やアイデアを公的に利用されたい場合、お問い合わせ欄から運営者への連絡お願いします。ご協力よろしくお願いします。

 

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。