この度、日本における小児処置時鎮静(PPS)の状況に関する貴重な研究を紹介いたします。
日本における小児処置時鎮静:1,436例の単施設研究
研究の背景/目的
小児処置時鎮静(PPS)は、数十年にわたり世界中で標準的な実践として確立されている。しかし、日本にはPPSに関する包括的なガイドラインや多施設のデータベースが存在せず、現在のPPSおよびPPS関連の有害事象の状況は不明である。
本研究の目的は、日本におけるPPSの状況を調査し、有害事象およびリスク要因を明らかにすることである。
研究の方法
本研究は、2016年9月から2019年3月までの大学病院で行われた単施設のデータベース調査である。
静脈内鎮静薬を用いた医療処置のために鎮静状態に保たれた18歳未満の小児が本研究に登録された。
有害事象は、ケベック・ガイドラインに従って記録および定義された。
研究の結果
研究期間中、PPSは1,436例で連続して実施された。
使用された鎮静薬の大部分(94%)は、チアミラール単独またはケタミンと組み合わせたチアミラールであった。
233例(16.2%)で合計253件の有害事象が発生し、酸素飽和度低下、気道過敏症、嘔吐が含まれていた。
患者は簡単な介入によりすぐに呼吸関連の有害事象から回復した。気管挿管が必要な患者はおらず、重篤な有害事象は発生しなかった。
4つのリスク要因(American Society of Anesthesiologists classificationが高い、処置時間が長い、絶食状態の不遵守、鎮静担当者が小児高度救命処置認定を持っていない)が有害事象の発生と関連していた。
結論
全PPS症例の16.2%で有害事象が発生した。
日本におけるPPSの重篤な有害事象およびリスク要因を分析するために、さらなる研究が必要である。
考察と感想
この研究は日本からの貴重な論文であり、日本における小児処置時鎮静(PPS)の状況に関する重要な情報を提供しています。
PPSの有害事象とリスク要因に焦点を当てることで、日本の医療従事者に有益な知見をもたらし、今後の治療や対策に役立つことが期待されます。
また、この研究は日本におけるPPSの実践とデータ収集に関する意識を高めるきっかけとなり、より包括的なガイドラインや多施設データベースの構築につながることを願っています。
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