乗り物酔い

乗り物酔い予防におけるショウガの効果: 抗ヒスタミン薬とプラセボと比較[アメリカ編]

今回は、乗り物いに対して、抗ヒスタミン薬やプラセボと比較して、生姜(ショウガ)は有効かを検証したRCTの紹介です。

マミー
マミー
乗り物酔いにショウガが有効って本当ですか?

ユーキ先生
ユーキ先生
1980年くらいから、さまざまな研究がされていたようです。

Dr.KID
Dr.KID
論文を読んでみましょう

ポイント

  • ショウガが、抗ヒスタミン、プラセボと比較して、乗り物酔いの有効かを実験室で検討したRCT
  • ショウガは回転椅子により誘発される吐き気に対して、抗ヒスタミン薬やプラセボより有効であった

参考文献

Mowrey DB, Clayson DE. Motion sickness, ginger, and psychophysics. Lancet. 1982 Mar 20;1(8273):655-7. doi: 10.1016/s0140-6736(82)92205-x. PMID: 6121968.

 1982年にアメリカから公表されたようです

乗り物酔い予防におけるショウガの効果: 抗ヒスタミン薬とプラセボと比較[アメリカ編]

研究の背景/目的

本研究の目的は、粉末状のショウガ根が乗り物酔いに関連する胃腸症状を抑制する効果があるかどうかを確認することである。

研究の方法

乗り物酔いに対する感受性が非常に高いと報告した36名の大学生男女(18-20歳)において、乗り物酔いに対するショウガ根(Zingiber officinale)の粉末(940 mg)効果を、dimenhydrinate(100 mg)およびプラセボ(chickweed herb (Stellaria media))と比較検討した。

目隠しをした被験者を傾いた回転椅子に座らせることにより、乗り物酔いを誘発した。

胃腸の不快感の程度を15秒ごとに、最長6分間、心理物理学的手法により測定した。

Dr.KID
Dr.KID
回転椅子の実験ってこの時代から行われていたのですね。。

研究の結果

プラセボ群、ジメンヒドリナート群、ショウガ(Z. officinale)群の順に幾何平均の大きさの推定値が速く上昇した。

中央値検定により、3群の平均的な大きさの推定値の差は統計学的に有意であることが示された。

結論

ショウガ(Z. officinal)はdimenhydrinateやよりも乗り物酔いの軽減に優れていた。

考察と感想

実際のデータはどうでしょうか。

  平均 SE CI
プラセボ 90.0 12.2 45-180
Dimenhydrinate 216.2 10.0 165-270
ショウガ 335.8 8.2 285-360

ショウガを使用したグループのほうが、回転椅子で耐えられる時間が長く、乗り物酔いの耐性があるようにみえるデータです。

Dr.KID
Dr.KID
Dimenhydrinateは抗ヒスタミン薬のようですね。

 

まとめ

ショウガ根(Zingiber officinale)を、dimenhydrinate(100 mg)およびプラセボと比較して、乗り物酔いの有効かを実験室で検討したRCTとなります。

プラセボと比較した場合、ショウガ > dimenhydrinateの順に乗り物酔いの耐性効果があったようです。

 

 

詳しいデータはnoteの方で執筆しています:

乗り物酔いとショウガついてまとめたnote

乗り物酔いにショウガは効くのか?|Dr.KID

 

Dr. KIDの執筆した書籍・Note

絵本:めからはいりやすいウイルスのはなし

知っておきたいウイルスと体のこと:
目から入りやすいウイルス(アデノウイルス)が体に入ると何が起きるのでしょう。
ウイルスと、ウイルスとたたかう体の様子をやさしく解説。

感染症にかかるとどうなるのか、そしてどうやって治すことができるのか、
わかりやすいストーリーと絵で展開します。

絵本:はなからはいりやすいウイルスのはなし

こちらの絵本では、鼻かぜについて、わかりやすいストーリーと絵で展開します。

絵本:くちからはいりやすいウイルスのはなし

こちらの絵本では、 胃腸炎について、自然経過、ホームケア、感染予防について解説した絵本です。

医学書:小児のかぜ薬のエビデンス

小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:

小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。

医学書:小児の抗菌薬のエビデンス

こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。

日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。

created by Rinker
¥3,850
(2024/12/09 01:48:10時点 Amazon調べ-詳細)

Dr.KID
Dr.KID
各章のはじめに4コマ漫画がありますよー!

noteもやっています

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

 

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

保護者からのよくある質問に科学的根拠で答える

 

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。