賢明な医療の選択

乳児突然死症候群(SIDS)の予防を目的として、無呼吸アラームをルーチンに使用しない

今回は、無呼吸モニターと乳児突然死症候群(に関してです。

この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。

ユーキ先生
ユーキ先生
無呼吸モニターと乳児突然死症候群(に関して、どうなっているのでしょうか?

Dr.KID
Dr.KID
Choosing wiselyを見てみましょう。

ポイント

  •  Choosing wisely:無呼吸モニターと乳児突然死症候群(に関して
  •  既往歴のない乳児にルーチンでの使用は推奨されない
  •  例外があることも知っておく

  American Academy of PediatricsからのChoosing Wisely

家庭用の無呼吸モニターは、乳児突然死症候群(SIDS)の予防を目的として、ルーチンに使用しない[Choosing wisely]

Infant home apnea monitors should not be routinely used to prevent sudden death syndrome (SIDS).

There is no evidence that the use of infant home apnea monitors decreases the incidence of SIDS and should not be used routinely for this purpose; however, they might be of value for selected infants at risk for apnea or cardiovascular events after discharge.

家庭用の無呼吸モニターは、乳児突然死症候群(SIDS)の予防を目的として、ルーチンに使用しない。

乳児用の家庭用無呼吸モニターの使用によって、SIDS発症率の低下を示唆したエビデンスはありません。

このため、家庭用の無呼吸モニターを、SIDSの予防を目的として、ルーチン使用すべきではないでしょう。

しかしながら、退院後に無呼吸や心血管イベントのリスクがある特定の乳児には価値があるかもしれない。

考察と感想

乳児突然死症候群(SIDS)は、健常であった乳児が、特に予兆なく、原因不明で突然死亡してしまうことをいいます。

原因不明で突然起こることですので、保護者の方々もナーバスになり、無呼吸などのモニターをつけたくなる気持ちもよくわかります。現に、過去に私の友人医師(小児科ではありません)も子供が生まれて、モニターをつけたほうが良いのか心配になって、連絡下さった方もいます。

無呼吸のモニターをつけて、事前に察知して対応できれば良いのでは?という考えもあるかもしれませんが、無呼吸の誤作動に振り回されてしまったり、実際にきちんと検出できないなど、不確定要素があります。このため、推奨されていないのでしょう。

「ルーチンには」とありますが、全ての乳児に当てはまるわけではなく、例外がある点も知っておく必要があるでしょう。

まとめ

今回は、無呼吸モニターと乳児突然死症候群(SIDS)をご紹介しました。

これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。

 

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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。