スクリーンタイム(テレビなどの画面の視聴時間)について、18〜24ヶ月未満の乳幼児は、基本的に設けないことが推奨されています。なた、2〜5歳に関しては、1時間未満が良いとされています。
今回の研究では、スクリーンタイムと集中力の持続時間の関連性を検討しています。
- 食事中のモバイル機器の使用が、子供と保護者の相互作用にどう影響したかを検討
- 食事中にモバイル機器を使用していると、親子の会話や非言語的な相互作用が減る傾向にあったよう
スクリーンタイムは、米国小児科学会は2016年の改訂で、2歳未満は0時間(みせないこと)、2〜5歳は1時間までを推奨しています。テレビなどを観る際も、保護者と一緒にみることを推奨しています。
オーストラリアも似たような方針を出しています。
研究の概要
背景・目的:
この研究では、構造化された実験室において、母親と子供の相互作用の頻度と母親のモバイルデバイス使用の関連性を検討した。
方法
低収入家庭の母子225組が対象であった。
6歳以下の小児とその母親を、なじみのあるも/やなじみのないものを食べさせられたとき、どのように相互作用するかを観察した。標準化されたプロトコルをして、ビデオ撮影が行われた。
ビデオテープから、自発的にモバイル機器を使用したか否かに基づいて母親を二分し、子供に対する母親の言語的および非言語的特徴を計測した。
多変量Poisson回帰を用いて、モバイル機器の使用と、異なる食品に対して迅速に摂食する頻度との関連を検討した。
結果:
母親は平均31.3歳(SD 7.1)で、 28.0%はヒスパニックであった。
経過観察の間、 23.1%の母親が自発的にモバイルデバイスを使用した。
デバイス使用は、年齢、人種/民族性、教育、抑うつ症状または育児スタイルを含む母体特性と関連しなかった。
デバイスを使用しなかった母親と比較して、デバイスを使用した母親は、子供との会話での相互作用(RR 0.80 [95%信頼区間:0.63, 1.03])および非会話での相互作用(0.61 [0.39、0.96])が少ない傾向にあった。
この関連は、最も不慣れな食物であるハルヴァ(口頭の場合は0.67 [0.48、0.93]、非口頭の場合は0.42 [0.20、0.89])の導入時に最も強かった。
結論
モバイル機器の使用の割合は少なくはなく、食事中の親子の相互作用を少なくする傾向があった。
特にこの相互作用の低下は、非言語的な相互作用や、不慣れな食物の導入中にその傾向がみられた。
モバイル機器の使用が、自然主義的な文脈において親子の関わりにどのように影響するかを理解するために、さらなる研究が必要である。
考察と感想
恥ずかしながら、ハルヴァという食べ物を知らなかったです。イスラエルの郷土菓子のようですね。
食事中にモバイル機器を使用していると、親子の会話が少なくなる傾向にあったようですね。実際にモバイル機器の使用の有無で比較をすると、11.1語 vs. 14.1語と、モバイル機器を使用すると言葉数が減ってしまうようですね。
会話以外にも、不慣れな食事を食べるように奨励したり、言語以外での関わり合いも減ってしまったようですね。
まとめ
今回は、食事中のモバイル機器の使用が、子供と保護者の相互作用にどう影響したかを検討しています。
食事中にモバイル機器を使用していると、親子の会話や非言語的な相互作用が減る傾向にあったようです。
乳幼児のスクリーンタイムの考え方をまとめたnoteはこちらになります↓↓
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