賢明な医療の選択

軽度の内股歩行の8歳未満の子供に、レントゲン、装具や手術を勧めない[Choosing wisely]

今回は、小児の軽度の内股歩行に関してです。

この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。

ユーキ先生
ユーキ先生
軽度の内股歩行の子供に関して、どうしたら良いのでしょうか?

Dr.KID
Dr.KID
Choosing wiselyを見てみましょう。

ポイント

  •  Choosing wisely:軽度の内股歩行の子供
  •  レントゲン、装具や手術を勧めない

  American Academy of PediatricsからのChoosing Wisely

軽度の内股歩行の8歳未満の子供に、レントゲン、装具や手術を勧めない[Choosing wisely]

Do not order radiographs or advise bracing or surgery for a child less than 8 years of age with simple in-toeing gait.

Mild in-toeing is usually a physiologic phenomenon reflecting ongoing maturation of the skeleton. Metatarsus adductus, femoral anteversion, and tibial torsion all contribute to in-toeing and tend to improve with growth. Simply monitoring gait for continued improvement at normal well child examination intervals is adequate until the age of 7-8 unless there is severe tripping and falling or asymmetry. It is not possible to alter the natural evolution using physical therapy, bracing or shoe inserts.

8歳未満で単純な内反足の子供に対して、X線写真の撮影を依頼したり、装具や手術を勧めたりしてはいけません。

軽度の内股歩行は、通常、骨格の成熟を反映した生理的現象である。

内転中足症、大腿骨前捻、脛骨の捻転はすべて内反の原因となり、成長とともに改善する傾向があります。

重度のつまずきや転倒、非対称性がない限り、7~8歳までは、通常の健康診断の間隔で歩行の継続的な改善を監視するだけで十分です。

理学療法や装具、靴の中敷きを使って、自然な経過を変えることはできません。

考察と感想

軽度の内股歩行に関してでした。重度のつまずきや転倒、非対称性がない限り、7~8歳までは余分な検査や処置はしないというのは、その通りだと思います。一方で、どこから検査が必要か、その評価をどうしたら良いのかといった点は気がかりでした。

参考文献も読んで勉強しようと思います:

Fabry G, Cheng LX, Molenaers G. Normal and abnormal torsional development in children. Clinical Orthopaedics and Related Research. May 1994; (301):22-26.

Fabry G, MacEwen GD, Sharnds AR, Jr. Torsion of the femur: A follow up study in normal and abnormal conditions. J Bone Joint Surg.  Am. Dec 1973;55(8):1726-1738.

Lincoln TL. Suen PW. Common rotational variations in children. The Journal of the American Academy of Orthopaedic Surgeons. Sep-Oct 2003; 11(5):312-320.

Staheli LT. Corbett M. Wyss C, King H. Lower-extremity rotational problems in children. Normal values to guide management. J Bone Joint Surg Am. Jan 1985;67(1):39-47.

Svenningsen S. Apalset K. Terjesen T, Anda S. Regression of femoral anteversion. A prospective study of in-toeing of children. Acta Orthopaedica Scandinavica. Apr 1989;60(2):170-173.

まとめ

今回は、軽度の内股歩行の子供に関するchoosing wiselyをご紹介しました。

これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。

 

created by Rinker
¥6,600
(2024/03/19 01:48:32時点 Amazon調べ-詳細)

Dr. KIDの執筆した書籍・Note

医学書:小児のかぜ薬のエビデンス

小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:

小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。

医学書:小児の抗菌薬のエビデンス

こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。

日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。

created by Rinker
¥3,850
(2024/03/18 18:37:01時点 Amazon調べ-詳細)

Dr.KID
Dr.KID
各章のはじめに4コマ漫画がありますよー!

noteもやっています

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

 

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

保護者からのよくある質問に科学的根拠で答える

 

当ブログの注意点について

当ブログは医療関係者・保護者の方々に、科学的根拠に基づいた医療情報をお届けするのをメインに行なっています。参考にする、勉強会の題材にするなど、個人的な利用や、閉ざされた環境で使用される分には構いません。

一方で、当ブログ記事を題材にして、運営者は寄稿を行なったり書籍の執筆をしています。このため運営者の許可なく、ブログ記事の盗用、剽窃、不適切な引用をしてメディア向けの資料(動画を含む)として使用したり、寄稿をしないようお願いします。

ブログの記載やアイデアを公的に利用されたい場合、お問い合わせ欄から運営者への連絡お願いします。ご協力よろしくお願いします。

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。