小児科

赤ちゃんがよくミルクを吐きますが、大丈夫ですか?【胃食道逆流】

母乳やミルクをよく吐きます…

『赤ちゃんが、よく母乳やミルクを吐きます。先生、大丈夫でしょうか?』

1ヶ月健診や3ヶ月健診で、お母さんからこの質問を非常によくされます。

退院前にも保護者には『赤ちゃんはミルクを吐きますよ』と説明されていることもありますが、健診の時に再度聞かれることが多いです。
そのくらい心配なのでしょう。

大人は牛乳を飲んでも、そうそう吐きません。
吐く時といえば、胃腸炎など体調が悪いことが多いですよね。

ですので、保護者の方が『うちの子は体調が悪いのでは?』と心配されるのも分かります。

Dr.KID
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乳児健診でよくある相談の1つです。

赤ちゃんの哺乳後の嘔吐の頻度

赤ちゃんの哺乳後の嘔吐の頻度は、月齢によって異なり:

  • 生後1ヶ月 90%
  • 生後2-3ヶ月 50%
  • 生後1歳 10%

の赤ちゃんが起こすといわれています。

つまり、生後1ヶ月以内の赤ちゃんは、哺乳後はほとんど吐きます。
吐いたことがない子のほうが、圧倒的に少ないのです。

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Dr.KID
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赤ちゃんは哺乳後によく吐くのです。

哺乳後の嘔吐は徐々によくなります

上のデータから、赤ちゃんは最初の1ヶ月は、哺乳後によく嘔吐します。

しかし、嘔吐は生後3ヶ月くらいから徐々に軽快していき、12〜18ヶ月までに自然軽快します。
およそ1年で、9割は改善することがわかっています。

長期的に見て、それほど心配のいらない嘔吐と分かっていただけると思います。

Dr.KID
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データで一定の傾向を知ることで、余分な不安が消えるかもしれないですね。

赤ちゃんが嘔吐しやすい理由について

赤ちゃんは大人とは体の構造がやや異なり、お腹が張りやすく、嘔吐しやすいです。
最初は母乳やミルクと液体が栄養源のため、固形物と比べて逆流しやすいのも原因の1つです。

赤ちゃんのお腹が張りやすい理由

赤ちゃんは、母乳や人工乳を飲む時、空気を一緒に飲み込んでしまいます。

『哺乳瓶は空気を飲み込むけれど、母乳では飲み込まない』と吹聴している方もいますが、そんなことはありません。

母乳でも、哺乳瓶からの栄養でも、赤ちゃんは空気を飲み込みます。
さらに、泣いた時も空気を飲み込みます。

このため、空気が腸の中で一杯になるため、赤ちゃんのお腹は張りやすいのです。
空気と母乳・ミルクを飲んで、お腹が張ってお腹が大きくなりますが、お腹に入る量は限られているので、 最終的に嘔吐をしてしまうのです。

赤ちゃんは、胃から口へ逆流しやすい構造になってます

大人と比較して、赤ちゃんの食道・胃は;

  • 食道が細くて短い
  • 下部食道括約筋(LES)の発達が未熟で、胃から食道へ逆流しやすい
  • 仰臥位(仰向け寝)が多く、逆流しやすい

などが逆流しやすい原因といわれています。

これらは、体の成長とともに自然と解決されますので、大きな心配はいりません。

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Dr.KID
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体の構造上、逆流し、嘔吐しやすいのです。

ゲップをさせましょう

お腹が張っている時の対策は、立て抱きにして、ゲップをさせるとよいでしょう。
ゲップの後も、少し抱っこをして、15〜30分くらいは上半身を高くしてあげると吐きにくくなります。

上手にゲップをさせても、吐いてしまうことはありますので、落ち込まないでくださいね。

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こんな時は小児科医にご相談しましょう

注意したほうがよいのは

  • 18ヶ月を超えても嘔吐が軽快しない
  • 合併症(食道炎、肺炎など)を起こしたことがある
  • 体重増加が不良
  • 繰り返し噴水のように吐く

の場合です。

これらを認める場合は、病的な嘔吐のことがあるので、小児科、小児の消化器科、小児外科などで相談されるとよいと思います。

病的な嘔吐の診断方法

まずは問診をよくして、しっかりと身体診察をして臨床診断すれば、十分なことが多いです。
不要な検査は新生児・乳児に負担となるため、極力さけるようにしています。

検査の適応となるのは、上で説明した通り、嘔吐が18ヶ月を超えても頻回にある、体重増加が悪い、嘔吐による肺炎を起こした場合です。

検査について

検査として;

  • バリウム造影
  • 24時間 pH モニタリング
  • 食道インピーダンスモニタリング
  • 内視鏡

などがあります。
造影検査だけであれば外来で可能ですが、モニタリングや内視鏡は入院が必要となります。

Dr.KID
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検査が必要になるお子さんは、かなり少ないです。

治療方法について

大半のお子さんは1歳までに自然に治ることがわかっています。
ですので、基本的に無治療で経過観察をすることがほとんどです。

嘔吐への対処法として;

  • ゲップをさせる
  • ミルクにとろみをつける
  • 1回の哺乳量を減らし、哺乳回数を増やす
  • 保護者はタバコやアルコールを避ける
  • 母はカフェインを避ける
  • 哺乳後は15分程度は、頭・上半身を高くする

などです。

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その他の治療法について

哺乳後の嘔吐が重症な場合に限り、薬物治療をします。

  •  プロトンポンプ阻害薬 ・H2 受容体拮抗薬(制酸薬)
  • メトクロプラミド

などがります。
しかし、これらの薬の長期間の投与はあまり好ましくありません。

外科手術(Nissen吻合術 ・空腸瘻造設術)もありますが、手術が必要なのは、ごくわずかな難治例のみです。
通常は嘔吐以外に元気なお子さんに手術をすることはないでしょう。

Dr.KID
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基本的に自然に治るので、気にし過ぎないのも重要です。

◎ こちらは小児科医ママの森戸先生が書かれた育児不安解消の本です。特に第1子は色々と不安がつきまとうと思うので、こちらの本を読まれるとよいと思います。平易な言葉で、よく患者さんから相談されることを中心に解説してくれてます。

 

ABOUT ME
Dr-KID
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このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。