今回の研究は、新型コロナウイルスに感染した妊婦のデータを集めたシステマティックレビューになります。。
- 新型コロナウイルスに感染した妊婦のデータを集積
- 対象となったのは論文13本
- ICU入室は3%、重症例は1.5%ほど
- 明らかな垂直感染はなし
13本の論文データを集めて行われた報告です。
研究の概要
背景
新型コロナウイルス[重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2 (SARS‐CoV‐2)] 感染症に罹患した妊娠において、母体および新生児合併症の頻度ならびに母体疾患の重症度を確認することを目的に、今回の研究が行われてました。
方法
2020年4月29日までに報告された、MEDLINE, Ovid, ClinicalTrials.gov, MedRxiv, やScopusを検索しました。
母体および新生児の転帰に関連し、少なくとも10人の新型コロナウイルス感染症の妊婦の報告に限定された。
組み入れ基準は、 新型コロナウイルス感染の確定診断を受けた妊婦であった。
選択したデータベースでのシステマティックレビューの検索用語は、 「コロナウイルス」「SARS‐CoV‐2」「COVID‐19」 および 「妊娠」 で行いました。
主要アウトカムは、集中治療室 (ICU) への母親の入院、重症疾患および死亡であった。副次アウトカムは早産、帝王切開分娩、垂直伝播、および新生児死亡率とした。
カテゴリカル変数は、95% CIと共にパーセンテージ(%)として報告した。
結果
同定された99の論文のうち13は、SARS‐CoV‐2感染を合併した538の妊娠を含み、 435例 (80.9%) は出産の関連したアウトカムが報告されていた。
母親のICU入院は症例の3.0% (8/263、95% CI 1.6–5.9)、母親の重症疾患は1.4% (3/209、95% CI 0.5–4.1)であった。また、母体死亡は報告されなかった(0/348、95% CI 0.0–1.1)。
早産率は20.1% (57/284、95% CI 15.8–25.1)、帝王切開率は84.7% (332/392、95% CI 80.8–87.9)、垂直感染率は0.0% (0/310、95% CI 0.0~1.2)、新生児死亡率は0.3% (1/313、95% CI 0.1–1.8)であった。
結論
パンデミック初期のデータから、新型コロナウイルスによる妊産婦死亡率、新生児死亡率、垂直感染率が低いことは確かであり、早産率が20%、帝王切開率が80%を超えることは、地理的な診療パターンと関連していると考えられる。
感想と考察
妊婦のまとまったデータですね。
以前も類似のシステマティックレビューがありましたが、文献とのリンクが曖昧で、相対的に質はあまり高くないと思いました。
今回のは1つ1つのデータをきちんと整理されており、とても参考になりました。
まとめ
今回は、新型コロナウイルスに感染した妊婦に関して、過去に報告された論文13本のまとめになります。
感染者300人以上のデータで、ICU入室例は3%、重症例は1.5%、垂直感染は認めていないようです。
(2024/12/08 17:37:02時点 Amazon調べ-詳細)
Dr. KIDが執筆した医学書:
小児のかぜ薬のエビデンス
小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:
(2024/12/08 01:43:13時点 Amazon調べ-詳細)
小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。
小児の抗菌薬のエビデンス
こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。
日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。
Noteもやっています