新型コロナウイルス

小児のCOVID-19 (新型コロナウイルス感染症) の情報(2月24日版)

今日は、文献を2つ目を通して、以下の点をアップデートしました。

1つは3ヶ月児の感染例です。幸い、悪化することなく、順調に経過したようです。こういう新規感染症の時は、症例報告も非常に重要な情報源ですね。混乱の中、報告された医師らには、敬意を示そうと思います。

もう1つは、家族内の集団感染ですが、なぜか7歳と10歳の子供がいたようですが、後者のみが感染したようです。

ポイント

  •  中国と日本の感染者数の推移
  •  中国で3ヶ月児の1例報告
  •  中国での家族内の集団感染の分析
マミー
マミー
新しい情報はありますか?

Dr.KID
Dr.KID
文献などを少し目を通したので、1つずつ見ていきましょう。

中国と日本の感染者数の推移

中国と日本の感染者数の推移は以下の通りです (2/23時点)
  •  世界:78,554人
  •  中国:76,936人
  •  日本:129人

 中国の累積感染者数の推移

中国では、もうすぐ8万人に差しかかろうとしていますが、徐々に新規感染者は鈍化してきて、頭打ちになってきている印象です。とはいえ、かなりの方が感染している現状です。

図のY軸のスケールを対数化させて見てみましょう:

感染者数の増加速度は、徐々に鈍化してきている印象です。

日本の累積感染者の推移

日本の患者数の推移は以下の通りです:

この図を見てしまうと、まだまだ上昇トレンドにありそうで、勢いは増してきている印象で、これから急速に増えてくるかもしれません。

同じく、Y軸を対数化してみましょう:

累積数が100人を超え、対数化したスケールでも、上昇トレンドになるのが分かります。

韓国で感染者数が400人を超えたという報告も出ているようです。シンガポールも80人を超えています。 

 

 小児の3ヶ月児の1例報告

3ヶ月児の論文に目を通しました。重症することはなかったようで、詳細な経過が記載された貴重な論文です。

 概要

月齢3ヶ月の女児が、発熱4時間後に受診入院となりました。受診時の検査では、白血球数は高くなく、胸部X線では右肺に浸潤影がありました。
咽頭拭い液では、新型コロナウイルス(2019-nCoV)のPCR検査が陽性を示しています

ペラミビル・アジスロマイシン・セフタジジム?などといった治療を開始し、入院15日後に全快し退院しています。

患児の経過の特徴として、気道症状の出現は比較的遅く、症状は軽かったようです。

家族内感染については、患児の両親は、患児が発病した7日後にPCR陽性となっています。その他の論文を見ても、特に小児の場合は、家庭内の伝播が非常に重要な経路のようです。

また、患児は入院中もPCR検査を繰り返し行われていたようですが、3回連続で咽頭スワブのPCRは陰性だったようですが、同時期の痰と糞便からはPCRから検出されていたようです。

患児の母は発熱や気道症状はなかったようですが、胸部CTを撮影すると、COVID-19でよく見られる浸潤影を両側に認めていたようです。

Dr.KID
Dr.KID
PCRも100%の検査でなく、採取する場所とタイミングで陽性になったり、陰性になったりするようですね。

深圳(Shenzhen)市における家族内感染の報告

家族内で集団感染を起こした症例集積を報告した研究もあります。

概要

家族内の集団感染を分析した報告で、この中に小児が2人いて、1人が感染していたようです。

深圳(Shenzhen)から武漢(Wuhan)に旅行に行って、そこで感染したと思われる家族のようです。ID7の女性のみ、旅行には同伴しなかったようです。

検査陽性者は6人いて(ID: 1〜5, 7)、それぞれの特徴は以下の通りでした:

ID 年齢 性別 既往
1 65 高血圧
良性腫瘍
+ +
2 66 高血圧 + +
3 37   + +
4 36 副鼻腔炎 + +
5 10  
6 7      
7 63 糖尿病 + +

PCRは鼻腔および咽頭ぬぐい液を採取して、どちらか or 両方が陽性になっているようですね。全例でCTを撮影していますが、いずれの症例も特徴的な所見(すりガラス陰影・結節影・胸膜下の浸潤影など)を認めていたようです。

肝心の小児ですが、生来健康な10歳男児で、特に症状はなかったものの、PCRは陽性で、CTを撮影すると、浸潤影を認めていたようです。

不思議なことに、ID6の7歳女児には感染しなかったようです。母曰く「ID5の10歳男児と異なり、ID6の7歳女児は、旅行中も親の指示を守り、ずっとマスクをしていて、感染防御をしていた」とのことでした。

 感想と考察

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)が騒動になって1ヶ月以上になりますが、小児に関しては、まだ情報が足りていない印象です。

現時点で分かっていることをまとめると、以下の通りです:

Dr.KID
Dr.KID
上述の症例報告2つを追記しました。

まとめ

今回は、

  •  中国と日本の感染者数の推移
  •  中国での3ヶ月男児の1例報告
  •  中国での家族旅行後の集団感染の分析

についてアップデートさせていただきました。

引き続き、新しい情報、過去の文献を読み込んだら、報告させてもらおうと思います。

当ブログの注意点について

Dr.KID
Dr.KID
当ブログは医療関係者・保護者の方々に、科学的根拠に基づいた医療情報をお届けするのをメインに行なっています。参考にする、勉強会の題材にするなど、個人的な利用や、閉ざされた環境で使用される分には構いません。

Dr.KID
Dr.KID
一方で、当ブログ記事を題材にして、運営者は寄稿を行なったり書籍の執筆をしています。このため運営者の許可なく、ブログ記事の盗用、剽窃、不適切な引用をしてメディア向けの資料(動画を含む)として使用したり、寄稿をしないようお願いします。

Dr.KID
Dr.KID
ブログの記載やアイデアを公的に利用されたい場合、お問い合わせ欄から運営者への連絡お願いします。ご協力よろしくお願いします。

 

 

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。