今回は、小児の慢性ITPにおいて、脾臓摘出による治療の報告を紹介します。
ITPに対する脾臓摘出はかなり昔から行われていたようで、小児のデータも少しあります。
ITPはかつて特発性血小板減少性紫斑病 or 免疫性血小板減少性紫斑病、その後、免疫性血小板減少症と呼び名が変わっています。
研究の概要
背景・目的
慢性ITPの管理については議論があるものの、脾臓摘出術がもっとも有効であるのかもしれない。
方法
1981~2005年にITPと診断された小児(生後2カ月〜15歳)に関する情報が提供された。
この情報は、1997年からデータベースに記録されており、現在までに7つの病院で治療を受けた844人の小児に関するデータが記録されている。
このうち、評価可能な小児696名のデータの中で、230名が慢性ITPと判断された
慢性ITPは、診断から6カ月後の血小板数が150×10^9/L未満と定義されていた。
結果
脾臓摘出患者について
脾臓摘出術は30人 (13%) で実施され、 22人 (73%) で寛解を達成した。
良好な反応と初期血小板数は正の相関関係にあった。
脾臓を摘出しなかった患者について
非脾摘患者においては、診断から10年までで、自然寛解は53/200の(26.5%) で確認された。このうち半数以上(56%)は診断後6~12か月で回復した。
回復率は年長児 (14.6%) よりも9歳未満の小児 (31.2%) で高かった 。
結論
個々の症例における反応を予測する信頼できる因子はまだ入手できない。
考察と感想
IVIGが登場してからの論文なので、過去の古いペーパーより脾臓摘出率は低いのでしょう。
あれこれ治療を試してダメだったら行うイメージですが、できれば「どのような小児に効きやすいのか」という予測は知りたい臨床医が多いのではないでしょうか。
侵襲的な治療法ですので、こういった考えは重要と思います。
まとめ
今回は、慢性ITPにおいて、脾臓摘出後の経過をみています。
30例に脾臓摘出を行い、73%は良好な反応があったようです。
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