小児科

小児の慢性ITPに対してステロイドパルス療法は?[台湾編]

今回は、小児の慢性ITPにおいて、ステロイドパルスを使用した報告です。こちらは台湾で行われた研究のようです。

マミー
マミー
小児のITPの治療って何がありますか?

Dr.KID
Dr.KID
過去のエビデンスをみてみましょう。

   ITPはかつて特発性血小板減少性紫斑病 or 免疫性血小板減少性紫斑病、その後、免疫性血小板減少症と呼び名が変わっています。

 研究の概要

 背景・目的

難治性の慢性ITPの小児において、高用量経口デキサメタゾンパルス療法の有効性を評価する。

方法

2〜5種類の通常の標準治療に対して難治性であった、7人の子供(5才以上16才未満)を、この試験対象とした。

デキサメタゾンを40 mg/m^2́/日(最大40 mg/日)の用量で4日間連続で経口投与した。

このサイクルを6か月間、毎月1回繰り返した。

Dr.KID
Dr.KID
結構、アグレッシブな治療ですね。

結果

最初のサイクルの1か月後、血小板数の部分応答(50〜150 x10^9/L)が3人 (43%) で観察された。

第6サイクル終了時に、患者2人 (29%) は完全奏効 (>150×10^9/L) 、1人は部分奏効が認められた。

しかしながら、 1人の患者 (14%) のみが治療完了1年後に部分反応性のままであった。

結論

成人で観察されたものとは対照的に、この予備的研究は、高用量経口デキサメタゾンパルス治療が、慢性ITPの小児で一様に有効ではないことを示唆する。

考察と感想

7人のシングルアームの試験ですね。

本文を読んでいくと、少なくともIVIGやステロイドと言った標準的な治療を2回は受けていたようです。

今回のデキサメサゾン・パルス療法ですが、以下の治療レジメンだったようです:

Dexamethasone was given orally in a dose of 40 mg/m2 per day (max 40 mg/day) for 4 consecutive days as a cycle. The cycle was repeated every 4 weeks. Each patient received 6 consecutive cycles of therapy.

6ヶ月のレジメン終了時は、7人中2人が完全寛解、1人が部分寛解、残りの4人は反応性なし or 乏しいという結果だったようです。

Dr.KID
Dr.KID
データを細かくみていると、少し底上げはされているようですけれど。

まとめ

今回は、小児の慢性ITPにおいて、高用量のデキサメサゾンを投与した研究です。

サンプル数はかなり少ないですが、高用量のステロイドを投与した場合、7人中2名で完全寛解、1名で部分寛解という結果でした。

 

 

created by Rinker
¥4,950
(2024/12/08 12:53:26時点 Amazon調べ-詳細)

Dr. KIDの執筆した書籍・Note

医学書:小児のかぜ薬のエビデンス

小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:

小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。

医学書:小児の抗菌薬のエビデンス

こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。

日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。

created by Rinker
¥3,850
(2024/12/08 01:43:13時点 Amazon調べ-詳細)

Noteもやっています

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

 

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

保護者からのよくある質問に科学的根拠で答える

 

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。