Cancer Epidemiology (がんの疫学)

Cancer Epidemiology (がんの疫学)⑨| 前立腺癌の疫学

前回は世界における大腸癌の疫学について簡単に説明してきました。

Cancer Epidemiology (がんの疫学)⑧| 大腸癌の疫学前回は世界における乳癌の疫学について簡単に説明してきました。 https://www.dr-kid.net/cancerepi7 今...

今回は、前立腺癌に注目して疫学の話をしていこうと思います。

Cancer Epidemiologyの教科書は以下↓

前立腺癌の発症と死亡

前立腺癌の発症と死亡数ですが、2018年に

  •  128万人の新規発症

が生じたと推定されています。

世界的に、前立腺癌は男性の新規発症癌2位で、死亡数では5位です。

現在は、先進国の症例が増加しつつあります。

75%の前立腺癌は、65歳以降に発症します。

国別にみた発症と死亡

国別にみた発症率と死亡率を見ていきましょう。

国別にみた年齢調整発症率

国別にみた前立腺癌の発症率を見てみましょう。

アメリカ、ブラジル、欧州の一部、オーストラリアの発症率が高いです。

年齢調整死亡率はどうでしょうか。

かなり異なる分布で、南アフリカが突出して高いのが分かります。

地域で見た年齢調整発症率と死亡率

年齢調整発症率と死亡率は以下の通りになります。

発症率は、北米、欧州、豪州・ニュージーランドなどが高いのが分かります。

一方で、死亡率はアフリカで高く、北米の倍以上です。

発症率の経時トレンド

大腸癌発症率の経時トレンドを見てみましょう。

全体の傾向として、増加傾向にあります。

特徴的なのは、1990年代の急激な増加ですね。これはPSAが導入されたため、過剰に診断されてしまったのでしょう。

死亡率のトレンド

こちらは男性における前立腺癌の死亡率のトレンドです。

ここ20年ほどは死亡率は低下傾向にありますが、早期発見と治療の進歩が大きいのでしょう。

前立腺癌の危険因子について

前立腺癌の危険因子としては、以下のものが挙げられます。

危険因子 解説
年齢 65歳以降に多い
人種 黒人に多い
ヒスパニックに少ない
アジアの都市部で増加傾向
(香港やシンガポール)
Agent Orange ベトナム戦争で使用されたAgent Orangeへの曝露
肥満 肥満はリスク上昇
食生活 はっきりと分かっていない
家族歴 家族歴があると20%で発症する
遺伝性前立腺癌 全体の5%
HBOC syndromeなど
遺伝子変異 HPC1
HPC2
HPCX
CAPB
ATM
FANCAなど

 

おわりに

今回は前立腺癌の国際的な疫学について簡単に解説してきました。
気になる方は、IARCはGLOBCANなどの資料を参照されると良いでしょう。

次回は胃癌について解説していければと思います。

Cancer Epidemiologyの教科書は以下↓

ABOUT ME
Dr-KID
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。