ロイコトリエン拮抗薬

モンテルカストは、乳幼児の喘息様の症状に有効なのか?

モンテルカストはキプレス®︎やシングレア®︎として国内では販売されています。

気管支喘息の発作予防薬として処方されており、過去の様々な研究から予防効果が示唆されています。

乳幼児の喘息様症状の問題点として、就学前の乳幼児で「気管支喘息」として診断することが難しい点にあります。

つまり、一過性の喘息のような症状であるのか、本当に喘息で起こっている症状なのかの区別が難しいことがあります。

この研究が行われる前にも、就学前の乳幼児の喘息様症状に対してロイコトリエン拮抗薬(モンテルカスト)や吸入ステロイドが行われてきましたが、後ろ向き研究であったり、ランダム化はしていても盲検化されていなかったりなど、様々な問題点がありました。

そこで、今回の研究が行われました。

研究の方法

今回の研究は、オランダの3施設の小児科外来で行われたランダム化比較試験です。

対象となった小児は、

  • 2-5歳
  • 喘息様症状

のある小児です。

治療は

  • モンテルカスト
  • 吸入ステロイド(フルチカゾン)
  • プラセボ

のいずれかを投与して3ヶ月ほどフォローアップしています。

アウトカムは

  • 喘鳴
  • 呼吸苦

を0(症状なし)〜3(重症)点で評価し、さらに朝と夜で分けて計算しています。3x3x2 = 18点満点としています。

そのほかのアウトカムとしては、

  • 追加治療不要であった日数
  • 副作用

などを計測しています。

研究結果と考察

最終的に63人の患者が研究に参加し、

  • モンテルカスト18人
  • 吸入ステロイド25人
  • プラセボ20人

となっています。患者の年齢は3.8歳で、62%は男児でした。

症状スコアについて

症状スコアは治療開始前後で、いずれのグループも軽快しています。

グループ間の比較をすると、プラセボvs. 吸入ステロイドで症状スコアの減少が統計学的な有意差がありました。(図は論文より拝借)

追加投薬が不要であった日数

呼吸症状が悪化した時に、追加投薬が必要でなかった日数をみています。つまり、追加治療が必要でな日が多いほど、よくコントロールされているとかんがえられます。

それぞれの日数を比較しましたが、グループ間での統計学的な有意差はありませんでした。

副作用と追加投薬

副作用や追加投薬数は以下の通りでした。

 

M

ICS

P

腸炎

3

1

1

抗菌薬投与

5

3

1

全身ステロイド

1

1

1

(*M = モンテルカスト; ICS = 吸入ステロイド; P = プラセボ)

一部のみを抜粋していますが、腸炎の症状はモンテルカストがやや多く、抗菌薬の使用数も同様です。

サンプル数がすくないので、統計学的な比較はすこし難しいですね。

考察と感想

今回の研究ですが、モンテルカストを使用したほうが治療開始後の症状スコアはプラセボグループより症状のスコアはやや低く、ばらつきも少なくなっているようにみえます。

しかし、このグループ間比較はされなかったか、おそらく有意差がなかったため論文に書かれていなかったものと思います。

追加投薬の必要性に関しては、モンテルカストを使用しても、プラセボでもあまり差はないか、わずかにモンテルカストのほうが成績がよいかもしれません。

この論文の問題点としては、グループ内の前後比較は全てしているのですが、グループ間の比較はしたり・しなかったりと、一貫性がありませんし、その基準があまり明確でない印象です。

また、様々な症状スコアをbox plotで示していますが、中央値がいくつだったのか、IQRがどの程度だったかの明示もありません。

そういう意味でも、読んでいてすっきりしない、はっきりと意図が伝わらない研究のようにも感じてしまいました。

まとめ

喘息様の症状のある小児にモンテルカストを使用したほうが治療開始後の症状スコアはプラセボグループより症状のスコアはやや低く、ばらつきも少なくなっているようにみえますが、検定が不十分で、追加検証が必要と思われます。

 

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Dr-KID
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このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。