感染症

COVID-19パンデミック下における、小児への遠隔医療による抗生物質処方の傾向[アメリカ編]

コロナ禍において小児への遠隔医療と抗生剤処方の傾向を検討した研究になります。

マミー
マミー
オンライン診療でも抗生剤をもらえるのですか?

ユーキ先生
ユーキ先生
実際にどのくらい処方されているのかは気になるところですね。

Dr.KID
Dr.KID
論文を読んでみましょう

ポイント

  • コロナ禍における小児の遠隔医療と抗生剤の処方をみた研究でした
  • パンデミックの宣言がなされた直後の処方が多く、皮膚感染への使用が中心だったようです

参考文献

Payvandi L, Correa ET, Hatoun J, O’Donnell H, Vernacchio L. Trends in Telehealth Antibiotic Prescribing for Children Through the COVID-19 Pandemic. Pediatrics. 2022 Jun 29. doi: 10.1542/peds.2022-056209. Epub ahead of print. PMID: 35765129.

 2022年にアメリカから公表されたようです

COVID-19パンデミック下における、小児への遠隔医療による抗生物質処方の傾向[アメリカ編]

研究の背景/目的

小児へのプライマリケアいおいて、遠隔医療による抗生物質処方の適切な範囲に関するコンセンサスがないまま,COVID-19のパンデミック時に遠隔医療が大幅に増加した. 

我々は、 COVID-19パンデミック時の州全体の小児プライマリケアネットワーク内の遠隔医療における抗生物質処方パターンを分析した。 

研究の方法

州全体の大規模な小児プライマリケアネットワークの後方視的観察研究において、2020年3月から2021年7月までの経口抗生物質が処方された遠隔医療および対面診察を特定し、データ分析した。ICD-10コードを用いた上位5つの一般診断群に注目した。 

Dr.KID
Dr.KID
独自のネットワークがあったようですね。

研究の結果

経口抗生物質が処方された55,926件の遭遇のうち、12.5%が遠隔医療で、87.5%が対面で実施された。 

遠隔医療による抗生物質投与の割合は,診断カテゴリーによって異なった:耳(30.8%),皮膚および皮下(21.8%),呼吸器(18.8%),泌尿器(6.3%)およびライム病感染症(3.8%). 

すべての診断項目において、遠隔医療による抗生物質の受診の割合は2020年春にピークを迎えた。分析の直近4週間の遠隔医療による抗生物質処方の割合が最も高かったのは、ライム病感染症(11.7%)、皮膚・皮下組織感染症(3.1%)であった。 

結論

パンデミックの初期段階以降も、抗生物質の処方に遠隔医療が利用され続けている。

臨床医と患者にとって、遠隔医療で処方される抗生物質の適切な使用に関する明確なガイドラインは有益であろう。 

考察と感想

小児に対する抗生物質の過剰使用を抑制するため、各国で多くの努力が払われています。しかし、遠隔医療と対面医療を比較した抗生物質処方実践に関する研究は不明な点が多く、まだ成熟段階にあります。 

この研究では、新型コロナウイルス感染症の流行時、特に皮膚、軟部組織、ライム病感染症など視覚的に判断できる診断では、遠隔医療による抗生物質の処方が続いている点が分かりました。 

Dr.KID
Dr.KID
遠隔医療と正確な診断は相性が悪いので、抗生剤の不適切処方につながりやすいかもしれませんね。

まとめ

コロナ禍における小児の遠隔医療と抗生剤の処方をみた研究でした。

パンデミックの宣言がなされた直後の処方が多く、皮膚感染への使用が中心だったようです。

 

Dr. KIDの執筆した書籍・Note

絵本:めからはいりやすいウイルスのはなし

知っておきたいウイルスと体のこと:
目から入りやすいウイルス(アデノウイルス)が体に入ると何が起きるのでしょう。
ウイルスと、ウイルスとたたかう体の様子をやさしく解説。

感染症にかかるとどうなるのか、そしてどうやって治すことができるのか、
わかりやすいストーリーと絵で展開します。

絵本:はなからはいりやすいウイルスのはなし

こちらの絵本では、鼻かぜについて、わかりやすいストーリーと絵で展開します。

絵本:くちからはいりやすいウイルスのはなし

こちらの絵本では、 胃腸炎について、自然経過、ホームケア、感染予防について解説した絵本です。

医学書:小児のかぜ薬のエビデンス

小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:

小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。

医学書:小児の抗菌薬のエビデンス

こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。

日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。

created by Rinker
¥3,850
(2024/04/23 20:06:30時点 Amazon調べ-詳細)

Dr.KID
Dr.KID
各章のはじめに4コマ漫画がありますよー!

noteもやっています

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

 

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

保護者からのよくある質問に科学的根拠で答える

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。