今回は、2歳以上で重度でない小児の急性中耳炎に対する抗菌薬の適応に関するの診療方針に関してです。
この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。
- Choosing wisely:小児の急性中耳炎に対する抗菌薬の適応に関して
- 2歳以上で、重症でない場合は、ルーチンで使用しないよう推奨されている
- フォローする体制も必要
アメリカのAmerican Academy of Family PhysiciansからのChoosing Wisely
重度ではない2~12歳の小児の急性中耳炎に対して、抗生物質をルーチンで処方しない[Choosing wisely]
Don’t routinely prescribe antibiotics for otitis media in children aged 2-12 years with non-severe symptoms where the observation option is reasonable.
The “observation option” refers to deferring antibacterial treatment of selected children for 48 to 72 hours and limiting management to symptomatic relief. The decision to observe or treat is based on the child’s age, diagnostic certainty and illness severity. To observe a child without initial antibacterial therapy, it is important that the parent or caregiver has a ready means of communicating with the clinician. There also must be a system in place that permits reevaluation of the child.
経過観察の選択肢が妥当な場合、重度ではない2~12歳の小児の急性中耳炎に対して、抗生物質をルーチンで処方しない。
経過観察の選択肢とは、子どもの抗菌薬治療を48~72時間延期し、治療を症状の緩和に限定することである。
観察か治療かの決定は、その子の年齢、診断の確実性、および疾患の重症度に基づいて行われる。
初期の抗菌薬治療を行わずに経過観察を行うには、親または保護者が臨床医との連絡手段を用意しておくことが重要である。また、子どもの再評価を可能にするシステムも必要である。
考察と感想
2歳以上の小児において、重度ではない急性中耳炎に対して、数日間経過観察し、自然軽快しないかを計測する方針です。
もちろん、抗菌薬の投与を遅らせることで悪影響がないように、再診できる環境、保護者の理解なども必要と思います。日本は病院へのアクセスが良いという利点があるとおもいます。
まとめ
今回は、2歳以上で重度でない小児の急性中耳炎に対する抗菌薬の適応に関するchoosing wiselyをご紹介しました。
これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。
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