ドクター・キッド

〜小児科医が解説する子供の健康・病気と単なる雑記のブログ〜

ホクナリン・ツロブテロール・セキナリンテープは咳止めではない

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外来で

を貼っているお子さんが多いことに驚いています。

『このホクナリンテープは、どこで処方され、何のために使用しているの!?』
と首をかしげてしまいます。

なかには保護者の方々で「ホクナリンテープ、ツロブテロールテープ、セキナリンテープは咳止め」と信じていることがあります。

実は「ホクナリンテープ≠咳止め」

ホクナリンテープには咳止めの効果がある」と本気で信じて疑わない方が沢山います。
ですが、本当に咳が止まるのは、ほんの一部のお子さんです(気管支喘息の小児)。

▪️ ほとんどの小児で咳止めの効果がない理由

例えば、気管支喘息のある患者さんに気管支拡張薬として使用した場合に呼吸が楽になり、咳が止まることはあります。

ですが、ほとんどのお子さんは気管支喘息ではありません。
咳の多くは風邪が原因なので、このテープで軽快することはまずありません。

この貼り薬に咳止めの効果は、元々ないのです。

▪️ 簡便さに流されないで

貼付薬(テープ)は胸に貼るだけという簡便さから、保護者の方から絶大な人気があるのは理解できます。

しかし、十分に薬の効果を説明されず、漫然と使用されることが多いです。

例えば、鼻詰り・痰が原因で咳をしているのに、安易に処方されていることがあります。

「咳止め」と勘違いして、ご家庭にストックしているご家庭も沢山あるでしょう。

 

ここからは、ホクナリンテープについて、さらに詳しく解説していきます。

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ホクナリン・ツロブテロール・セキナリンテープのまとめ

最初にホクナリンテープの要点だけまとめます:

・ホクナリン・ツロブテロール・セキナリンテープは咳止めではない
・ホクナリン・ツロブテロール・セキナリンテープは気管支拡張薬
・薬の効果が出るまで、大体6〜8時間くらいかかる
・動悸や不整脈、筋力低下、手足の震えといった副作用がある 

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ホクナリン・ツロブテロール・セキナリンテープは気管支拡張薬です!

 ホクナリンテープ・ツロブテロールテープ・セキナリンテープの裏には"ツロブテロール"という成分が塗ってあります。
この"ツロブテロール"は、気管支にあるβ2受容体を刺激します。
この受容体が薬の成分で刺激されると、気管支の平滑筋が弛緩して、気管支が拡張します
単に気管支を拡張させるだけの薬なので、咳止めの効果は一切ありません

■ 臨床研究で咳止めの効果がないのは既に証明されている

『でもKID先生、この薬は本当によく処方されてるし、咳止めの効果はないのですか?』と疑問に思われる保護者の方も数多くいるでしょう。
 
すでに過去に複数の施設で研究は行われ、
『ツロブテロール・ホクナリン・セキナリンテープは、咳止めの効果はない』
と科学的に証明されています(以下の論文)

■ 研究内容の解説

簡単にですが、この研究内容を説明します。
この研究では、「気管支喘息のない小児」を対象にして、ホクナリンテープを使用した子と使用していない子を比較しています。
 
結果、「ホクナリンテープを使用した子は、使用していない子と比較しても、咳の症状は変わらなかった」と結論づけています。
 
つまり、ホクナリンテープを使用しても、咳の症状は改善しないのです。
このように、ツロブテロールテープは、咳に対しては有効性はありません。

▪️ 気管支喘息のある子には効果を認めることも

ただし、この研究では気管支喘息のある人、聴診で喘鳴を認める子は対象外です。
一般的に、喘息を疑われている子供への使用は有効と考えられますので、使用されてもよいでしょう。
ここで強調したいのは、ホクナリンテープ・ツロブテロールテープを「使いやすい咳止め」として、漫然と使用するのは避けた方がいい、という点です。

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ホクナリンテープは貼ってもすぐに効かない

ホクナリンテープは、皮膚に貼っでもすぐに効果はでません。
テープに付いている薬の成分が皮膚から吸収されて、気管支に届くまで時間がかかるからです。
テープの効果が出るまでに、4時間〜6時間はかかります。
このため、ゼーゼーと喘鳴が悪化してからでは、あまり効果は期待できません。

▪️ 即効性はありませんが、長時間効いてくれます

即効性がないのは欠点でもあり、長所でもあります。
テープの効果はゆっくりと長く持続するため、1日に1回だけ貼付すればOKです。
 
お薬を頻回に飲ませるのと比べると、とても簡便に使用できるのは、テープの利点でしょう。

▪️ 使うなら早めに使用 

気管支喘息のお子さんへは、鼻水や咳など感冒症状が出現して、ゼーゼーという喘鳴が懸念される場合に、早めに使用してもらいます。
 
悪化してからでは遅いので、早めに使用するとよいでしょう。
特に、喘息の悪化が不安な夜などは、あらかじめ寝る前に貼っておくとよいでしょう。

ホクナリンテープ・ツロブテロールテープの医学的な適応

これまで説明してきたように、ツロブテロールテープは、風邪には医学的な適用はないでしょう。
使用したほうが良いのは、聴診器で胸の音を聴いて、ゼーゼーと喘鳴の音が聞こえているときでしょう。
疾患としては:
  1. 気管支喘息がある
  2. 気管支炎で喘鳴がひどい
場合に、使用されるとよいと思います。
気管支喘息も気管支炎も、気管支という空気の細い通り道が、炎症や分泌物で細くなっている状態で、気管支拡張薬を使う事で、症状の改善が見込めるからです。
(*気管支炎への有効性は疑問視されています)

ホクナリン・ツロブテロールテープは副作用がある

ホクナリン・ツロブテロール・セキナリンテープは体に貼るだけの薬のため、副作用はないと考えている保護者が多いです。

しかし、現実には副作用がいくつかあります。代表的なものは:

が代表的です。

また、手足の震えはかなり高頻度に起こると言われていて、2〜3人に1人が起きていたという報告もあります。 

また、ただの風邪で安易に使用したはずの薬が、不整脈という怖い副作用が結果として出てしまうのは、割に合わないと思います。

▪️ すべての薬にはメリット・デメリットがあります

全ての薬には、必ず副作用があります。
大事なことは、薬のメリットとデメリットを天秤にかけ、必要なお薬を、必要に応じて使用することです。

適切な薬の選択と使用は、お子さんの健康を守るのにとても役に立ちます。
ホクナリンテープ・ツロブテロール・セキナリンテープの正しい知識を頭に入れて、賢い薬の選択をするようにしましょう。

 

◎ 痰がらみの咳は、多くは鼻水が喉にたれる「後鼻漏」で起こります。最近はクリニックと同じような鼻吸い機が、わりと廉価で売られだしています。

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