RSVに関する血清有病率調査からのエビデンスをまとめるために、系統的な文献レビューが行われた研究を紹介します。
RSウイルス感染症の疫学:日本
研究の背景/目的
RSウイルス(RSV)は、乳幼児期の気管支炎や肺炎の入院の主な原因です。日本では、乳児のRSVの疫学や臨床特性についての公開データは限られています。
研究の方法
この後ろ向き研究では、2017年1月から2018年12月までの2歳未満の日本の子どもたちの中でRSVの発生率、季節性、患者の特性、リソースの使用、そして臨床結果を説明しています。
RSVの症例はJMDCのデータベースを使用して確認されました。
研究の結果
データベースでは、2017年と2018年にそれぞれ9,711例と8,509例の2歳未満のRSV患者が特定されました。
これらのうち、25%が入院を必要としました。入院した患者の90%は既知のRSVリスク因子を持っていませんでした。
入院した患者の19%が脱水症状を経験し、12%が急性呼吸不全を経験しました。入院期間は平均で1週間であり、7%が何らかの形での人工呼吸を必要としました。
入院のピークは生後2ヶ月時でした。2歳未満の子供のRSV入院率は1,000人年あたり23.2件で、これは6ヶ月未満の乳児で1,000人年あたり35.4件に増加しました。この年齢層は2歳未満の子供のすべてのRSV関連入院の40%を占めていました。
結論
2歳未満のRSV患者の約四分の一が入院していました。これらの90%は基礎疾患を持っていなかった。これは、RSVがすべての幼い子供たちに深刻な疾患を引き起こす可能性があることを強調しています。
RSVに罹患した生後6ヶ月未満の日本の子供の3〜4人に1人が入院しており、この年齢層はRSV関連入院の約40%を占めていました。特に幼い乳児を対象とした新しい、広範囲のRSV予防策が必要とされています。
考察と感想
RSウイルス(RSV)が乳幼児の重大な健康問題であることが明確に示されています。特に、2歳未満の子供たちの中で、RSVによる入院の25%が発生し、その多く(90%)が明確なRSVリスク因子を持っていなかったという事実は、このウイルスが一般の幼児の健康に及ぼす可能性のある影響を示しています。
重要な観察結果の一つは、6ヶ月未満の乳児がRSVによる入院の大部分(約40%)を占めていたという点です。これは、特にこの年齢層に対する防御策が急務であることを示しています。
また、RSVによる入院のピークが2ヶ月時であったという点も注目に値します。これは、RSVの感染を防ぐための介入が可能ならば、生後2ヶ月以前にそれを行うべきであることを示しています。
この研究は、日本でのRSVの実態を明らかにし、特に幼児を対象とした予防策の必要性を強調するものです。一方で、この研究は後方視的なものであり、RSVの全体像を描くためには大規模で前向きな研究が必要でしょう。
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