科学的根拠

注意欠陥/多動性障害の小児におけるTipepidineの投与:4週間の非盲検予備試験

今回はチペピジン(アスベリン®︎)の徐放製剤の第I相、第II層試験で使用された研究の紹介になります。

参考文献

Sasaki T, Hashimoto K, Tachibana M, Kurata T, Okawada K, Ishikawa M, Kimura H, Komatsu H, Ishikawa M, Hasegawa T, Shiina A, Hashimoto T, Kanahara N, Shiraishi T, Iyo M. Tipepidine in children with attention deficit/hyperactivity disorder: a 4-week, open-label, preliminary study. Neuropsychiatr Dis Treat. 2014 Jan 24;10:147-51. doi: 10.2147/NDT.S58480. PMID: 24493927; PMCID: PMC3908907.

注意欠陥/多動性障害の小児におけるTipepidineの投与:4週間の非盲検予備試験 [日本編]

研究の背景/目的

Tipepidine(3-[di-2-thienylmethylene]-1-methylpiperidine)は,日本では1959年から非麻薬性鎮咳薬として単独で使用されてきており、小児および成人におけるtipepidineの安全性は既に確立されている。

tipepidineは、Gタンパク質共役型内向き整流性カリウム(GIRK)チャネルを阻害することが報告されている。tipepidineによるGIRKチャネルの阻害は、脳内のモノアミンのレベルを調節することが期待される。

我々は、tipepidineがGIRKチャネルの阻害を通じてモノアミン神経伝達を調節することにより、注意欠陥/多動性障害(ADHD)の症状を改善できるという仮説を提唱した。

この非盲検試験の目的は、tipepidineによる治療がADHDの小児患者の症状を改善できるかどうかを確認することであった。

研究の方法

本試験は、ADHDの小児被験者を対象とした4週間の非盲検・有効性確認のパイロット試験である。

10名の小児ADHD被験者(70%男性、平均年齢9.9歳、複合型[注意欠陥および多動・衝動]サブタイプ、n=7、注意欠陥サブタイプ、n=3、多動サブタイプ、n=0)にtipepidine hibenzateを30mg/日で4週間経口服用した。

日本語版のADHD Rating Scale IV(ADHD-RS)およびDas-Naglieri Cognitive Assessment System(DN-CAS)を用いて、すべての被験者を評価した。

研究の結果

ベースラインのスコアと4週間後のエンドポイントのスコアを比較したところ、すべてのADHD-RSスコア(合計スコア、衝動性のサブスコア、注意欠陥のサブスコア)統計学的に有意に改善した(P<0.001)。

さらに、ベースラインのDN-CAS総スコアと4週間後のエンドポイントスコアの比較では、軽度の改善傾向が見られた(P=0.093)。

Tipepidineの忍容性は良好であり、副作用のために服用を中止した患者はいなかった。

結論

我々のパイロットスタディは、tipepidineが小児のADHD患者に対する効果的な代替治療法であることを証明する可能性を示唆している。

しかし、tipepidineの有効性を確認するためには、より詳細な無作為化二重盲検試験が必要である。

考察と感想

TipepidineのRCTが2020年前後にいくつか行われているようですが、それの先駆けとなる研究だったようですね。

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Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。