科学的根拠

プロバイオティクスの安全性とリスクについて

今回の要点

  •  プロバイオティクスは整腸剤だけでなく、食物や乳製品に含まれる
  •  基礎疾患のない患者には基本的に安全と考えられている
  •  安全性に関する調査数は限られている
マミー
マミー
プロバイオティクス(整腸剤)は基本的に安全ですか?

Dr.KID
Dr.KID
基本的には小児でも安全に使用できますが、症例によっては副作用の症例報告があり、注意が必要と考えています。

プロバイオティクスは整腸剤だけでなく、食物や乳製品に含まれており、長年使用されてきた経験から基本的には安全と考えられています。

一方で、小児においても多数のRCTが行われてきましたが、安全性に関連するアウトカムの報告がない研究も多く、その評価は不十分です。

また、RCTでは参加者に限りがあるため、特に稀なアウトカムを調査は不十分です。このため、市販後の大規模調査がされることがありますが、プロバイオティクスに関しては行われておらず、副作用の症例報告に頼らざるを得ないのが現状です。

今回のこちらの論文では、症例報告を網羅的に集めて報告しています。

研究結果と考察

こちらが症例報告のまとめになります。

成人の報告例が多いですが、免疫不全、短腸症候群、中心静脈栄養中などの患者で、プロバイオティクスによると思われる菌血症・敗血症・心内膜炎・膿瘍などが報告されています。

特別な基礎疾患のない小児であれば基本的に安全に使用できると考えられていますが、基礎疾患のある症例によっては整腸剤由来の感染症を発症することがあり、全例に安全性が担保されているわけではない点は留意しておいた方が良いでしょう

Dr.KID
Dr.KID
特に消化管疾患や免疫不全、手術後まもない方は、担当の医師に内服可能か確認されると良いでしょう。

 その他

フィンランドでの研究になりますが、プロバイオティクスの使用増加に伴う菌血症の増加がないかを調査した研究もあるようですね。次回以降にお伝えできればと思います。

Dr.KID
Dr.KID
消費量が増えた場合に、副作用の報告が増加していないかをチェックした研究のようです

まとめ

プロバイオティクスは、特別な基礎疾患のない小児であれば基本的に安全に使用できると考えられています。

一方で、免疫不全状態、消化管疾患など基礎疾患のある症例によっては整腸剤由来の感染症を発症することが稀にあります。

全例に安全性が担保されているわけではない点は留意しておいた方が良いでしょう

マミー
マミー
「基本的には」という意味は、例外があるということですね?

Dr.KID
Dr.KID
医療ではすべての人に当てはまることは少ないので、基本と例外があることを気をつけておくと良いでしょう

まとめ

プロバイオティクスは…

  • 特別な基礎疾患のない小児であれば基本的に安全に使用できる
  • 免疫不全状態、消化管疾患など基礎疾患のある症例によっては整腸剤由来の感染症を発症することがある

 

 

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。