科学的根拠のある子育て・育児

1歳未満の乳児期の野菜・果物摂取は、6歳時点の野菜・果物摂取量に影響するかも

これまで1〜2歳未満の小児に果汁やフルーツジュースを与えることに関して、ネガティブな記事を複数記載してきました。
例えば、アメリカ小児科学会(AAP)は、1歳までは果汁・フルーツジュースを与えるべきではなく、1〜6歳においては約120〜180ml/日までに控えるべきと述べています。

一方で、「果物は大丈夫なの?」と疑問をもった方がいるかもしれません。果物とフルーツジュースは別物に考えていただいて、基本はOKです。
果物にはカリウム、葉酸、食物繊維、ビタミンCなどが豊富に含まれています。
また、AAPは、果物や野菜は生後6ヶ月前後から離乳食として開始すべきと述べています。

アメリカは2〜19歳のうち、およそ17%は肥満と考えられており、健康的に過ごすために、果物や野菜摂取を含め栄養のバランスのよい食事を進める必要があります。

乳児期の食生活が、その後の小児の食の好みに影響を与えるかもしれません。今回の研究ではこの点を評価しています。

研究の方法

今回の研究では、生後1歳未満の果物や野菜摂取頻度が、6歳時点の食生活にどう影響しているかを評価しています。
評価には、アメリカのInfant Feeding Practices Study II (IFPS II)というデータベースを使用しています。

生後10ヶ月時点の果物 or 野菜摂取の頻度が、

  •  1日1回未満
  •  1日1〜2回
  •  1日2回以上

の小児が、6歳時点で果物 or 野菜の摂取頻度が1日1回未満となる頻度を比較しています。

 

研究結果と考察

最終的に1078人のデータが解析対象となりました。6歳時点での果物摂取と野菜摂取のオッズをアウトカムにみています。

6歳時点の果物摂取について

10ヶ月の果物摂取 6歳時点の果物摂取
(< 1回/日)
< 1回/日 48.2%
1〜2回/日 37.2%
2回以上/日 25.6%

生後10ヶ月時点で果物を頻回に摂取しているほど、6歳時点で果物摂取が少なくなる可能性は低そうです。つまり、乳児期に果物をしっかり食べていたグループのほうが、6歳時点でも果物を1日1回以上摂取している割合が高いです。

統計学的に患者背景を対処して、ORで表すと以下の通りでした。

6歳時点の野菜摂取について

10ヶ月の野菜摂取 6歳時点の野菜摂取
(< 1回/日)
< 1回/日 38.1%
1〜2回/日 26.6%
2回以上/日 21.4%

生後10ヶ月時点で野菜を頻回に摂取しているほど、6歳時点で野菜摂取の頻度が少なくなる可能性は低そうです。つまり、乳児期に野菜をしっかり食べていたグループのほうが、6歳時点でも野菜を1日1回以上摂取している割合が高いです。

統計学的に患者背景を対処して、ORで表すと以下の通りでした。

考察と感想

生後10ヶ月時点での果物・野菜摂取の頻度が、6歳時点での食生活にも影響を与えていることを示唆した面白い研究だと思います。

観察研究ですので、色々と懸念点はあります。例えば、食生活はその親や家庭の食生活や社会的な背景の影響も受けています。つまり、野菜をよく食べる家庭に生まれた乳児は、当たり前ですが6歳児でもよく食べるという可能性もあるわけです。
もちろん、統計学的に著者らはこの交絡を対処はしていますが、どこまできちんと対処できているか、という点には懸念があります。

とはいえ、離乳食から果物や野菜を取り入れて、バラエティー豊富な食事にすることは重要です。前回ご紹介した甘い飲物のように、乳児期の好みがその後の飲食の好みに影響を与える可能性はありえるからです。

生後12ヶ月未満に甘い飲み物を習慣的に飲むと、その後も甘い飲料水を多く摂取するようになる 1歳未満の赤ちゃんに甘い飲み物(ジュースなど)をあげると、クセになるからダメ などと指導されたことがある方がいるかもしれ...

少し物足りなく思ったのは、この食生活が小児の肥満やBMIにどのように影響したのかが報告されていなかった点ですね。

まとめ

今回の研究は、生後10ヶ月時点での果物・野菜摂取の頻度が、6歳時点での食生活にも影響を与えていることを示唆しています。

実際に肥満やBMIといった健康の指標はアウトカムに設定しておらず、やや物足りない研究でもあります。

 

ABOUT ME
Dr-KID
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このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。
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