科学的根拠のある子育て・育児

乳児の便の回数や色は、母乳と粉ミルクの栄養で異なるか?

  •  子供の便の回数が多い気がします
  •  0〜3ヶ月くらいの乳幼児は、便の回数って何回あるものですか?
  •  便があまり出ないのですが、大丈夫ですか?
  •  便が緑色になっています

乳幼児の排便は、月齢とともに大きく変化します。

例えば、新生児期は1日4回前後が平均と言われ、その後は徐々に減少していき、1歳で1日2回ほど、3−4歳で1日1回くらいに落ち着くのが分かっています。

排便回数に関して、どのくらいまでが正常で、どこからが異常か、0〜3ヶ月を対象にした過去のデータを参考にしてみました。

マミー
マミー
乳児って何回便をするのが正常ですか?緑色便って多いのですか?

ユーキ先生
ユーキ先生
小児で調査された研究が、いくつかあるようです。

Dr.KID
Dr.KID
クラシックな論文ですが、一緒に見てみましょう。

 

ポイント

  •  乳児の排便回数を調査した研究
  •  生後1ヶ月から3ヶ月に書けて減少傾向
  •  粉ミルクの方が緑色便の頻度が多い
参考文献

The defecation pattern of healthy term infants up to the age of 3 months. Arch Dis Child Fetal Neonatal Ed. 2012

   オランダからの論文です

乳幼児の排便回数と量はどのくらいが正常なのか?

研究の背景/目的

排便問題は乳幼児でしばしば起こる。

正常な排便パターンをより明確に理解することは,異常な排便をよりよく理解するために必要である。

そのため、オランダにおける健康な乳児の排便パターンを記述することを目的に本研究が行われた。

研究の方法

オランダにおいて、1175人の健康な幼児の研究集団から, 何の症状もない600人の幼児を選択した。

保護者は, 研究者らによって標準化された質問票と排便日記を用いて, 1, 2と3か月齢での摂食と排便の詳細を記録した。

Dr.KID
Dr.KID
便の回数や重さ、性状を記録した研究のようです。

研究の結果

母乳栄養の乳児では, 最初の3か月の間に排便回数が減少する傾向にあった(3.65回/日から1.88回/日)。

一方で、標準的な粉ミルクまたは混合栄養を与えられた乳児では、このような減少は観察されなかった。​

いずれの年齢においても, 母乳栄養児の排便頻度の平均および範囲は,人工栄養児よりも高かった。​

母乳を与えられた乳児は、人工乳を与えられた乳児より軟便で、黄色の便が多かった。

また、​3か月齢では50%は緑色便を経験していた。

​排便回数と排便量の間には負の相関があった。

結論

本研究は,これまでに発表された健康な乳児の最大規模のコホートを用いて、排便パターンに対する洞察をした。

​生後3カ月までは、母乳で育てられている乳児は、標準的な人工乳で育てられている乳児よりも、排便回数が多く、便が軟らかく、便の色も黄色が濃くなる傾向にあった。

標準的な人工栄養児の緑色便は正常とみなすべきである。

考察と感想

こちらも便の回数がどのくらいか、真面目に検討した研究ですね。

母乳の方が、粉ミルクより排便回数が多いのは既報通りですね。

あとは、緑色便の頻度が粉ミルクだと多く、50%前後で見られたようです。

Dr.KID
Dr.KID
外来でもよく心配されて質問されることありますね。

この論文の著者らも述べていますが、乳児の緑色便は異常でないことがほとんどですので、本人が元気なら気にしなくても良いかと思います。

まとめ

今回は、正常な乳児の、生後3ヶ月までの排便回数についての研究でした。

母乳栄養の方が排便回数は多い傾向にあり、逆に粉ミルクだと緑色便の頻度が多い傾向にあったようです。

 

 

Dr. KIDの執筆した書籍・Note

絵本:めからはいりやすいウイルスのはなし

知っておきたいウイルスと体のこと:
目から入りやすいウイルス(アデノウイルス)が体に入ると何が起きるのでしょう。
ウイルスと、ウイルスとたたかう体の様子をやさしく解説。

感染症にかかるとどうなるのか、そしてどうやって治すことができるのか、
わかりやすいストーリーと絵で展開します。

絵本:はなからはいりやすいウイルスのはなし

こちらの絵本では、鼻かぜについて、わかりやすいストーリーと絵で展開します。

絵本:くちからはいりやすいウイルスのはなし

こちらの絵本では、 胃腸炎について、自然経過、ホームケア、感染予防について解説した絵本です。

医学書:小児のかぜ薬のエビデンス

小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:

小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。

医学書:小児の抗菌薬のエビデンス

こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。

日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。

created by Rinker
¥3,850
(2024/04/24 20:06:43時点 Amazon調べ-詳細)

Dr.KID
Dr.KID
各章のはじめに4コマ漫画がありますよー!

noteもやっています

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

 

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

保護者からのよくある質問に科学的根拠で答える

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。