便秘のお子さんは、そうでないお子さんと比較して、異なる点がいくつかあるのは昔から知られています。例えば、
- 野菜や果物の摂取量が少ない
- 水分の摂取量が少ない
などがあげられます。
今回は、台湾から報告された研究をご紹介します。
- 小児の慢性便秘を対象に行われた研究
- 飲水量が少ないほど、便秘の有病率は高い傾向にあった
- しかし、水分摂取量を増やせば便秘が改善するかはこの研究ではわからない
Chien LY, Liou YM, Chang P. Low defaecation frequency in Taiwanese adolescents: association with dietary intake, physical activity and sedentary behaviour. J Paediatr Child Health. 2011 Jun;47(6):381-6.
台湾からの報告です。
生活習慣と便秘症はどのくらい関連しているのか?[台湾編]
研究の背景/目的
本研究の目的は、台湾の小児における便秘の有病率(排便回数が週3回以下と定義)を推定し、野菜、果物、水分の摂取量との関連性を調べること、座位行動に費やした時間、身体活動に費やした時間との関連性を調べることであった。
研究の方法
本研究では、アンケート調査を用いた。研究参加者は7~12年生の14,626人の青年であった。
身体活動は「International Physical Activity Questionnaire-Youth Show Card Version」を用いて測定した。
静的活動に費やされた時間には、勉強、読書、乗り物に座ること、スクリーンタイムが含まれた。
水分、果物、野菜の消費量は、参加者に過去 7 日間の各種類の食品の平均消費量を記述するよう求めることで測定された。
研究の結果
週3回未満の排便頻度の有病率は9.3%であった。
多変量ロジスティック回帰分析では、
- 女性(オッズ比(OR)=2.2)
- 健康状態の悪化(OR=1.3)
- 過体重・肥満ではない(OR=0.7)
- 座り仕事に費やす時間が多い(OR=1.0)
- 水分摂取量が少ない(1.8L/日未満、OR = 1.2)
- 果物摂取量が少ない(1つ未満、OR = 1.6)
- 野菜摂取量が少ない(1部位または100g未満、OR = 1.4)
- 全粒粉製品の摂取量が少ない(OR = 1.2)
といった独立した関連性が認められた。
結論
(便秘の有病率の割合の指標として)排便頻度が少ない割合は、台湾の青年に高かった。
座位行動を減らし、水分、野菜、果物、全粒粉製品の摂取量を増やすことは、体格や健康状態に関係なく、思春期の青少年の間で、便秘の予防と管理に役立つ可能性がある。
考察と感想
香港のとある小学校の小児(8〜10歳)が対象だったようです。
沢山データがあったので、水分のところだけ表にまとめてみました:
水分摂取量で便秘の有病率を並べると、以下のようなデータだったようです:
水分摂取量 | N | 便秘の割合 |
<600 | 1313 | 15.8% |
600-1200 | 3976 | 11.0% |
1200-1800 | 4808 | 8.4% |
1800-2400 | 2590 | 6.8% |
2400-3000 | 957 | 6.3% |
> 3000 | 977 | 6.7% |
1時点での調査ですので、「便秘のため水分が摂取しづらい」のか「水分を摂取しないから便秘になったのか」ははっきりとはわからないです。
まとめ
今回の研究は、台湾において、小児の便秘と特徴を比較した研究です。
水分摂取量が少ないほど、便秘となる小児は多い傾向にあったようです。
これらの因果に関しては、別の研究が必要と思います。
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